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逆転


好きなものだけ視界に入れたい。
好きなものだけ鼓膜を通したい。
好きなものだけ触れていたい。
好きなものだけに溢れて生活したい。
そしたらきっと幸せになれるから。
きっと自分のことも好きになれるから。

なのに、気づいたら嫌いなものばかり見てしまうようになっていた。

嫌いなものを見たくなくて、聞きたくなくて、話したくなくて、触りたくなくて。

だから嫌いなものを排除していた。
でもそしたら、そのために好きなものを選ぶんじゃなくて、むしろ嫌いなものを探して避けるようにになっていた。

嫌いなものが嫌だから、嫌いなものを血眼になって探して見つけて消している。
そしたらそれで疲れちゃって、好きなものに触れる体力も消耗しちゃって、結局「これならまだマシ」なものを選ぶようになっていた。

自分を好きになるために始めたのに、いつの間にか逆になっていた。

一体どこで間違えたんだろう。

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