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日常にひと匙のご褒美を




やべえ寝坊をして落ち込んだらnoteを書くという自分ミッションがありまして、僭越ながら日記を認めさせていただきます。なにとぞお付き合いください。


いやーびっくりしたね、時計見たら家出る10分前なんだもん。何回やったら慣れるのこれ。ちなみにこないだもやったのでここ数日で2回目の寝坊です。友よ、あのときはゴメン。



昨日はおやすみの日だったんですけれども、まあそんな日は大体昼頃まで寝るじゃないですか。で、面倒臭いながらもご飯を作って食べ、もっかい昼寝してたら夕方からご飯行く予定の友達から電話かかってきて、おかげで起きて、無事出かけたわけですね。
ところがどっこいお出かけを終え帰ってきても、まあなんと全く眠れません。そりゃあお前、朝昼で寝すぎたからだよって感じなんですけど、正直寝足りなかったんですよねあれでも。ぶっちゃけ毎日寝足りねえなと思ってる。だってほんとはわたし、最低でも10時間は寝たいもん……。


まあ、うだうだ言ったところで社会はロングスリーパー向けに出来てないのでね。


寝坊した時なんてもうとにかく余計なことは頭に入れず早く準備することだけを考えていたいのに、朝からテレビで流れてる番組がそれはもう大変に不快で。その情報番組では直近で起きた凄惨な殺人事件を取り上げていて、「こうしてれば防げたのでは」とかいうコメンテーターの的外れな発言だったり、「普通の方でしたよ、優しそうで。挨拶返してくれましたし」みたいな意味のなさそうな近隣住民へのインタビューだったりが放送されていて、耳に入ってくるだけで具合が悪くなりそうだった。報道するなとは言わないけどさ、起きてしまった事件に対して関係者の内面まで深く掘り下げて、ああしたらよかったこうすればよかったって話し合ってるのを放送するのは、一体誰のためなんだ。もっとさ、首相が連帯保証人になったっぽいやつとか、そういうことを尺取って国民に知らせるべきなんじゃないの。一応マスメディアなんだからさ。



……な〜〜〜んてことを考え出しちゃって動きが鈍くなるからまじでやめてくれ!!!!!!自分とテレビとにイライラしながらも、なんとか10分で着替えとメイクとヘアセットを最低限済まして家を飛び出しましたよ。間に合った。頑張ったね。



あーあ。こうやって寝坊する度に、また自分が少し嫌になってしまうんだよね。寝坊は悪だと誰よりも思ってるから、寝坊してきても悪びれない人がすごく苦手。待たされる側の気持ち考えたことないのかな。だって約束守った人が損するんだよおかしいよね。待ってる間って自由なようで実はゆるく行動を制限されてる。相手からの連絡にすぐ返せるようにしたり何かあったんじゃないかと心配したりするから、結局は待たせてる人に気持ちの上で損をさせている。本当によくない。そして当然、人に対して許せないから寝坊する自分のことも許せない。


わたしは人より沢山寝て沢山食べるくせに、何故か人より長く動けない。わたしという人間ってやつは燃費が本っ当に悪い。あんだけ寝て食べて蓄えたはずのエネルギーは一体どこいったんですか?キャパシティは人それぞれなのは分かってるんだけどさ、みんなは当たり前のように毎日ちゃんと起きられてるわけで。気を抜くとすぐお腹が空き過ぎて気持ち悪くなっちゃったりしないわけで。いっぱい食べていっぱい寝るのがわたしだもんね!わんぱく!なんて無邪気に肯定するのはなかなかに難しいものです。周りばっかり見ちゃって、比べちゃって。みんなもっと弱音吐いて欲しい。駄目なとこ見せて欲しい。私ばっかり不完全みたいだ。実際そうなのかもしれないけど。




これがわたしって胸を張ろうとしても
完全な生き方をまた目で追ってしまうよ


伊東健人『Sugar』より







幸いにも今日は仕事が比較的忙しくなく穏やかだったために、だんだんと落ち着きを取り戻せたからよかったです。冷静になってみると、なんだかんだこれまで半年くらいずっとここまでの大寝坊はせずに来れてたんだから、凄かったのかもしれないよ私。と考えられるまでにはなりました。やっとここでゼロ地点に戻れた。これ休憩中に見た推しのインスタ投稿のおかげもある。推しが誇らしくてとても助かった。こんな日はもういっそ思い切り自分を甘やかすのが朝のさいあくを取り戻す唯一の手段なので、帰りは絶対に寄り道して帰ると決めた。


定時に手早く上がり、近くの100円ショップへ向かう。何だかとっても黒ネイルがしたい気分だったので、シアーブラックの色とネイルパーツ、それからお菓子を2、3個もってレジに行った。バーコードを読み取ってもらってる間に鞄を探ってたら財布が見当たらなくて、え?もしかして忘れた?詰んだ??と思って一瞬ガチで焦った。ギリあった。セーフ。


お買い物を終えホクホクと出口の方へ向かうと、扉の向こうへクレープの文字が書かれた旗が見えた。やばい最高。ワゴン車に向かう足取りが今日イチで軽かった。


さっき出た百均たちのお釣りをぴったり使って、いちごのクレープを買う。普段はだいぶキャッシュレスになってきたからデビットカードばっかり使ってるけど、現金もちゃんと持ち歩かないとクレープを食べることができないんだよな。ありがとう、100円玉たちよ。


注文をしてお金を渡し、メニューを眺めながらのんびり待つ。こういう時の“待ち”は全然いやじゃなくて、むしろ楽しい。そして完成したとっておきが、ワゴン車の少し高い受け取り台にそっと置かれた。たっぷりのホイップと冷凍いちご、おはなのチョコが乗ったクレープ。かわいい。おつかれさま、わたし。




こうやって、自分から自分へ積極的にほんの少しのご褒美を贈呈することを、久しくやれていなかった気がする。惰性で帰って惰性で家事して、惰性で寝てる。もちろん合間にゲームしたりYouTube見たりしてるけど、日常化しすぎてもはや受動的なものになってしまっている。たまにはいつもとちょっぴり違うご褒美を、ホイップクリームみたいな甘さを自分にあげなきゃなと思った。例えば帰り道にクレープを食べるような、プレイリストにチラッと推しの大好きな曲を混ぜてみるとか、そんなくらいのことでいい。そしてその小さな幸せを、手のひらに収まるサイズの幸せを、こうして胸いっぱい口いっぱいに味わって、それで満たされるような大人になりたいな、と思った。


駐車場でクレープを食べ終わりゴミを捨てに行く途中、誰かの車の窓に映った私は、ホイップクリームを口の端っこにつけて幸せをもぐもぐ頬張っていて、随分と良い表情をしていた。



ありきたりな毎日がここで
溶けた夢たちと光るよsugar
あの日望んだ味は違うけれど
顔をあげて

当たり前の日常に少し
ひと匙だけあればいいなsugar
これ以上の幸せはいらないわ


伊東健人『Sugar』より


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