瀬戸夏子『現実のクリストファー・ロビン』備忘録――あるいは、瀬戸夏子の分裂
はじめに初めに断っておくと、わたしはおそらく『現実のクリストファー・ロビン』のあまりよい読者ではない。そのためこの記事は半分が備忘録で、もう半分が現時点でわたしの理解した限りの記述とならざるをえない。
本書は「Ⅰエッセイ」、「Ⅱ評論」、「Ⅲインタビュー、ブックガイド、日記」、「Ⅳ歌壇時評」、「Ⅴ作品」の五部に加えて、「すべてが可能なわたしの家で――まえがきのかわりに」、「あとがき」から構成されている。瀬戸夏子の文章にそれほど触れたことのないあなた/わたしは、まず「あとがき」