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生きている幸福~読書記録42~

「食卓の情景」は、食通で知られる池波正太郎先生のエッセイ。
昭和48年に」朝日新聞社より刊行。
先生の食に対する考え方と全国の旨い店を教えてくれる。

その中で教えられた事を抜き書きしたい。

人間にとって、ただひとつ、はっきりとわかっていることは、
「いつかは死ぬ」
という一事のみである。
あとのことは。いっさいわからない。
人は、死ぬために、
「生まれてくる」
のである。
おもえば、恐ろしいことである。
この一事を、昭和の大戦に参加した者は、忘れきることができまい。
私も一週に一度は、考えてみてもはじまらぬ自分の死のことを考える。これは二十代で終戦を迎えてから、ずっとそうだ。
「よく、それで生きていられるねえ」
と知人が私に言った。
まことにそうだ。死ぬことを考えると、誰だって気が滅入るであろう。
しかし、人間というものは実によくできている。
死ぬときのことを考えていた翌朝、あたたかい飯と、熱い味噌汁と、好物の焼海苔を口に入れた瞬間に、
「生きていられることの幸福」
を感じるようにできているからだ。
このごろ、老いた母が家人にこう言ったそうだ。
「死ぬときは、ぽっくり死にたいから、私はうんと好きなものを食べて、うんと肥って、それで心臓を圧迫しておくのよ」
朝五時、私が仕事を終えてベッドへ入ろうとする時、母は「お腹が空いてたまらなくなり…」寝床から起きだすのである。

やはり、焼海苔

この本に出て来る全国各地の店も全てではないが、行っている。又再開しよと思う。。。


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