世界で最後の花~読書記録418~
世界で最後の花 絵のついた寓話 ジェームズ・サーバー作 村上春樹訳
なぜ人間は戦争を繰り返すのか?
わたしたちは戦争のない未来をつくることができるのか?
第二次世界大戦開戦直前に描かれた、今を生きるわたしたちに託された平和への切実な願い。世界で読み継がれてきたロングセラーを、村上春樹の新訳で復刊。
【内容紹介】
第十二次世界大戦が起きた世界。文明は破壊され、町も都市も、森も林も消え去った。残された人間たちは、ただそのへんに座りこむだけの存在になってしまった。ある日、ひとりの若い娘がたまたま世界に残った最後の花を見つけます。その花をひとりの若い男と一緒に育てはじめます。すると……。
【ニューヨーク・タイムズ紙絶賛!】
「戦争に関する作品のなかで、最もシリアスで、最も皮肉とユーモアを感じる一冊である」
【村上春樹氏による訳者あとがきも収録】
世界では今でも、この現在も、残酷な血なまぐさい戦争が続いています。いっこうに収まる気配はありません。それはあとになったら、当事者の将軍たちでさえ「何のための戦争だったかもう思い出せない」ような戦争であるかもしれません。そんな中で「世界で最後の花」を守るために、多くの人が力を合わせています。この本も、そんなひとつの力になるといいのですが。(「訳者あとがき」より抜粋)
内容はシンプル。1ページに1行と読みやすいものだ。だが、内容は重みのあるものだ。
村上春樹氏の解説があって初めて理解出来る部分も大きい。
この本が刊行されたのは1939年。ナチスドイツのポーランド侵攻の年。つまり、第二次世界大戦の始まりの年なのだ。
著者のサーバーは、子どもの頃の事故で殆ど全盲状態だったという。その中で描いた絵はシンプルであるが深みがある。
この本を村上春樹が訳したのは2022年12月。
ロシアのウクライナ侵攻が2022年だ。そんな世界情勢の中での新たに村上春樹氏が翻訳したわけだ。
是非ともお勧めしたい1冊だ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?