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ガラスの地球を救え~読書記録159~

1989年に書き下ろされた手塚治虫先生のエッセイであるが、執筆中に先生が急逝された事で、編集部が一部を追加している。

60歳で胃がんで亡くなられたのだが、私は当時、連載中の「ネオファウスト」を読んでいたのだが、手塚治虫先生の死により未完となり残念だったことを覚えている。
手塚治虫先生はまだまだ描きたい事があったのだろうな、と思うのだ。

さてさて、この本が書かれた1980年代は、まだまだネット社会とは程遠い。
多分、手塚治虫先生が21世紀の今を観たら驚くのではないかと思う。

この本では、日本人が一番必要な物として「テレビ」が挙げられているが、今は若者も、40代、50代の中高年もテレビをあまり必要としなくなった。
それよりも、現代では、何を置いても「スマホ」が必要だろう。

もしかしたら、手塚治虫先生の想像しなかった21世紀であるかもしれない。

余談として、手塚治虫先生が「鉄腕アトム」をアメリカに売り込んだ時に「アストロボーイ」と名前が変わるのだが、アトムはアメリカのスラングで「オナラ」の意味らしく、アメリカ人のプロデューサーが気を使ってくれたようだ。初めて知った・・・

地球を壊れやすいガラスの球体として例えているわけだが、この本に書かれていること。又、手塚作品に貫かれているもの。それは「火の鳥」に最も見られうのだが、
「人間の傲慢さ」「人間だけがこの地球に住むのではない」「虫、動物、植物、皆、尊い」
ということで、これはそのまま、仏教的思想ではないだろうか。

先生の大好きなオサムシがこちらだ。オサムシからペンネームを「治虫」としたのは有名である。


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