見出し画像

ケーキの想い出

私がケーキ作りにハマったのは、中学生の時から大好きな作家の本がきっかけだった。

「天国に一番近い島」で有名な森村桂さんだ。

ニューカレドニア旅行した時に覚えられたという「忘れんぼのバナナケーキ」のエピソードも素敵だった。

高校時代の家庭科での調理実習で作ったケーキは、私は好きではなかった。
当時、卵を白身と黄身に分け、泡だて器で泡立てる。もちろん、電動の泡だて器ではなく、クラスの女子の中で体育会系の「火事場のクソ力」があるような女性が担当だった。

生クリームを泡立てるのも、力のある女子担当。
自分は皿洗いだけだった。

当時、私が住んでいた家(ダムが出来た為に残っていない)は、山に薪を拾いに行き、竈(かまど)で火を起こし料理するような家。小麦粉だって、あるのは薄力粉ではなく、うどん粉。
家庭科で作ったオシャレなケーキなんか出来るわけはないのだ。

さてさて、それから何年も経ち、社会人になり、初めてのボーナス。
(当時はバブル期で簡単に正社員になれ、ボーナスも貰えた)
私が買ったのは、電動の泡だて器と電気オーブンだった。
ふわっとしたスポンジケーキに生クリームを載せたケーキ。

だが、何か違う。独りで狭いアパートで食べるのに合わないような。

そんな時に、軽井沢に、森村桂さんのケーキ屋さん「アリスの丘」があると、先輩から聞いた。夏に有給休暇を取り、軽井沢に。
駅で自転車を借り、店まで行った。

その時は、まだ森村桂さんは元気でいらした。
って、昭和の時代なんで、当たり前か。


そして、こちらの本を購入。

なんと!!簡単で、美味しく出来るのだろう。しかも、独りで食べるのに相応しい!
泡だて器がいらない。
それまでイメージしていたケーキと言ったら、生クリームが上に載っていて、作った物を持参するのに専用の箱も工夫した。

こちらのケーキは、焼きあがった後にカットしてラップやアルミホイルで包み、教会に持って行った。

しかあし!!
ショックな事に、断捨離にハマったあげく、この本も処分してしまったらしい。
というか、沢山あった料理本が1冊もないのだ。
土井善晴先生のお母様の和菓子の本など、参考に大好きな饅頭を作る日々だったのに・・・
🍎のケーキを焼こうとしたが、料理の本もなく。

こちらは図書館で借りてきたのだ。自分のバカヤロー!!

五木寛之先生は正しかった。


その、断捨離の原因はいくつかある。
1つは、家族が私の食事を食べなくなり、自分自身も食に対する興味がなくなったこと。向精神薬を大量に飲んでいたので、薬と水だけあれば良かったのだ。40数㌔、ウエスト50㎝ほどだった。
又、病気なのか?薬の影響なのか?意識が頻繁になくなり、道路で倒れ、怪我をしていたなどもあった。
意識のない時に怪我をして、何度も手術をした。
同居人からは
「キチガイ」「早く死ね」「騙された」「結婚しなきゃよかった」
の言葉を今でも浴びせられている。
父を始め、親せきでは60歳前に亡くなった人が沢山いたので、
「そんなに長生きしないだろう」
と思っていた。
趣味なんか持っても仕方ないなと。

そして、「クリスチャンはこうあるべき!!」みたいな、おかしな思想を自分で勝手に決めて、訪問ヘルパーとかいうのを始めたのが大きかった。

私は確かに不器用だ。時間もかかる。
訪問した家では、認知もなく普通に歩ける方から「不味い」「遅い」「ダメ人間」だの言われ続け。さすがに、自信をなくした。
そんな酷い事を言わない方の家は、どこに何があるかわからない、いわゆる「汚部屋」であった。上司に言われ、認知症の方の部屋をゴミの片付けもかなりした。

自分もいつ死ぬかわからない。いつボケるかわからない。他人に迷惑をかける前に片づけをしないと、と。
「自分は必要ない人間だ」
日本人と韓国人カトリック信者たちに出会って、その思いが深まっていったこともある。

昨年までの私は、とにかく、片づけが趣味だった、と言ってもよかった。
本を読むにしても図書館から借りる。

ところが、その私が変わっていったのは、ツイキャスで始めた音読。
初めは、読んだ本のあらすじやら、感想を語っていた。
それを「長いサスペンスなども読む!」と変え、時間も取るようにした。
私の場合、老眼が酷くなり、本が読めなくなる前に、自分の為にと音読を始めたのもある。
良い本もすぐに忘れてしまうので。視聴者の数は気にしていない。

そして、何故か。ハマりまくった「大草原の小さな家」シリーズ。

それらの本に出てくる美味しそうな食べ物。。。

ローラやローラの母キャロラインは、自慢のケーキを焼き、教会に持って行く。
あああ、又、ケーキを焼きたい。そんな自分がいた。

五木寛之先生のエッセイから得たものも大きかった。
まだまだボケるだの、死ぬだの言う時期ではないのだ。
三浦雄一郎さんのように、80代でエベレスト登頂するなどは無理でも、
まだまだ歩いて、人生を楽しみたい。

寺田理恵子さんではないが、音読には色々な効果があるような気がする。
私は、舌を何度も手術しているため、滑舌が悪く、他人と口をききたくない。
同居人とも話をしない。
そして、選んだのが、同僚のいない、独りでやる今の仕事。全くストレスがなく感謝ではある。

しかし、滑舌が悪いから、と、話さないでいるわけにもいかず。それから、世の中には視覚障碍者や弱視の方は多いと知り、独りで本を読むのもな、と音読を始めた。

音読効果として、
1、舌のリハビリになる。腹式呼吸にもなる。
2、黙読の速読よりも、本の内容を覚えている。
3、他人にわかるように(有難いことに、ファン?がつき、本の内容によっては、なんと!!3桁も聴いてくれることがある)、ハッキリ読むことで、理解力がつく。

自分でも聴いている人の多さにびっくりの巻
4、キャスの時間を取るべく、時間のやりくりをする。だらだらと、昼間のワイドショーやら、日曜日のワイドショーやら、どうでもいいYou tubeを観なくなった。観たい番組はバラエティー番組でも録画している。食事作りも2回分を一度に作るなど。
5、毎日が楽しい自分がいる。


今日は、100円ショップで、パウンドケーキの焼き型も購入。

さてさて、楽しい日々になりそうだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?