見出し画像

人生100年老年格差~読書記録289~

2019年に発行された老年精神科医の和田秀樹先生による著書。

医師がみた人生100年のウソと本当

夢の長寿社会が実現するとして、「人生100年」がキーワードとなっている。人々が若々しく過ごし、高齢になっても働き続け、マルチなステージで活躍するライフスタイルが提示されるが、それらは高齢者医療とは無関係なビジネススクールの学者たちが示す未来像だ。
長年、高齢者医療に携わってきた著者は、もっと別の「人生100年社会」があると説く。これからの時代は、人々が若返るからではなく、死ななくなるから寿命は100歳近くまで延びていくのだ。
来るべき本当の人生100年時代とは、これまで10年ほどだった老いの期間が、20年~30年に延長する時代だ。そのため、老年を迎えた人々の、
知的機能や体力、健康度、若々しさなどの個人差が拡大する社会が到来する。
人生100年の真の姿を解き明かし、延長する老いの期間に向け、身体と脳の若々しさと健康を保つ方法、幸せな老いを迎えるためのヒントを老年医学の専門家である著者が説く。(出版社紹介文より)

これまで何冊も和田秀樹先生の本を読んだが、先生が土居健朗先生の教え子であったことは初めて知った。ああ、無知な自分が恥ずかしい。
土居先生は東京大学名誉教授であり、和田秀樹先生は東京大学出身であり、お2人共に精神科医であるから、当然と言えば当然なのか。

和田秀樹先生て予言者ではないか?とも思えた。
この本は、2019年に書かれたのだが、今現在の状況が当てはまっているのだ。
先生曰く、高齢化社会になり年金問題は出てくる。財政難で増税、社会保険増になる。政府の責任なのに、テレビでは若いコメンテーターが、老人は自殺してとか言うかも、と。


他にも、考えさせられる事の多い本であった。
やはり、何と言っても老後の年金問題、いくつまで働くのか、であろう。
国のお金が足りないから、増税しまーす。と気軽に言うが、どういうお金の使い方をしてきたのかを問題にすべきではないのか。
決して、高齢化というか、老人のせいではないのに、テレビなどでもイエール大学の賢い若い先生が一般の若者を煽ること、煽ること。

日本の税金は江戸時代の年貢のような感覚であると著者は言われている。 庶民は当然として税金を納めるが、上の人間が好きなように使っているのが年貢制度のような現在の国のあり方だ。 政治家のお金の使い方が財政破綻なのに、老人が死なないからみたいに煽る政治家にテレビコメンテーターも問題なのだ。

確かに日本人は長生きするようになったが、いつまでも健康で脳も身体も若いわけではない。長く働くにしても、若い時のようには出来ない。
それから、長寿社会ということは、必ずボケる時期が来る。誰かの世話になるということだ。それを受け入れるべきなのだ。

世の中で常識と言われていることも考える必要を感じた。
例えば、会社員なら年に必ず受ける健康診断。これは義務だが、必要性はあるのか?受けない主婦の方が健康に長生きしている。
ちなみに、私の大好きな、作家の佐藤愛子先生、五木寛之先生は健康診断を受けないと言われていた。両先生共に、元気である。

BMIというものがあり、痩せるように指示されるが、実は高齢になると、ある程度ぽっちゃりの方が健康なのらしい。

私は、もう高齢者の部門になるだろう。生理が終わってから一気に肥り始め、30代の頃のダイエットをしても効果は一切ない。
これは結局は仕方ないことと受け入れるほうが、精神的によいような気がしてきた。無駄な節制など辞めたほうがいいようだ。確かにお腹が出てきたことは悩みだ。40代の時に比べたら・・・と恥ずかしい。だが、それを受け入れて、好きに自由に生きた方が明るく元気に生きられるのだろうと理解した。

ただ、自分としては、あと数十年も生きるのかと思うと医学の進歩にぞっとすると思うのが実感なのだが、そこは受け入れるしかないだろう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?