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私の逢った神さまたち~読書記録94~

昭和50年発行、森村桂さんによるエッセイ。

15編の話から構成されているが、どれも森村桂さんが実際に体験されたことで、桂さんの行動力には驚くのだ。
例えば、杏のジャムが大好きで、自分で作りたいと、果物の杏を手に入れんと、長野駅の駅長に電話をいきなり掛けるなど。
それを快く引き受けてくれた当時の国鉄職員たち。
ああ、昭和の良さ。。。
今なら、どうだろうか。

福祉施設の資金集めチャリティーイベントでの長嶋茂雄さんの気前の良さと天然さの話も面白かった。

桂さんが出会った、普通の庶民で善意ある人達。それをこの本では「神さま」としている。

そうなのだ。私にとって、神とさえ思えた人たち。その人も、ごく当たり前な人たちなのである。ただ、心の中に、優しいものを持っていて、それを使うチャンスを待ってただけなのだ。
私たちはそれを知らねばならない。その人が自分にとって、神のような人になるか否かは、その人と対する自分の心に掛かっているかもしれないことを。そして、私達も、その心と実行次第で、人にとって、そんな神さまのような人になる事も可能だということを。
人の世とは、そんなわずかの差で、住みよくも住みにくくも、そして、性善説にも性悪説にも、どっちにでも傾くのである。  本書より。

桂さんが最後に述べている言葉だ。そう、これが言いたかった故の、多くの人から受けてきた善意の経験を綴ったのだろう。

1つの事実があり、私達がどう受け止めるか。それが一番大切なのだと思うのであった。


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