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団塊老人~読書記録112~

2004年発行。芥川賞作家・三田誠広のエッセイ。

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筆者自身が団塊の世代であるが、昭和22年から23年生まれの人口は突出して多い。若い頃は、急遽建てられたプレハブ校舎での授業。受験は厳しかった。

人には「帰属意識」がある。この書では書かれている。団塊の世代の方たちは、地方を離れ、都会で何かに所属したいという欲求があり、それが大学紛争となたり、論争となったり。
又、宗教学者の先生らの本を読むと、その団塊の世代が若い時に成長したのが創価学会のような宗教である。
三田誠広自身も述べていたが、カルト宗教はやはり人の持つ「帰属意識」を利用したものだ。

男女雇用機会均等法のない時代、会社で働く女性はOLなどと呼ばれ、補助的仕事であり、専業主婦の時代であった。そして、企業も親元から通う女性を採用していた。
バブル世代の私でさえも、これは同じだ。親元から通うが条件の企業が多く、地方出身者は不利であった。日本で問題になったパラサイトシングル(今はその人たちが独身で親を介護するのが問題?)も、個人的な問題ではなく、日本企業が「親元で暮らす」を安心材料として求めるのが要因ではないか?とも思うのだった。

この書が書かれた時には、団塊の世代は56歳から57歳。これから迎える定年、年金生活がどうなるかの予想も書かれている。

団塊の世代である筆者が同世代向けに書いたものとなっているが、それよりも下の世代に対してもこれから迎える老後についての助言のような形になっており、考えるところがあった。

定年後の人生は今は長い。どう生きるか。それを考えていきたい。



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