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いのちの終末をどう生きるか~読書記録199~

1987年発行。
故・日野原重明先生が各地で講演されたものをまとめられている。


この本が出た頃は、癌の告知が今ほどはされていなかったと思う。
だから、時代背景をも考慮しながら読んだ方がよいと個人的には思った。

読みながらも、「イヤイヤ、今の勤務医、看護師は忙しすぎて、そこまで出来ない」と思った。
そして、現代の医師で日野原重明先生のような心を持った方が何人いるだろうか?

さてさて、話は変わるが、テレビ朝日で放映されているドラマの予告CMが興味深いものであった。
癌転移した大学生の三上が「なんで僕なの!」という場面があるのだが、エリザベス・キューブラー・ロスの「死ぬ瞬間」を想った。 脚本家は多分、読まれているのだろう。


日野原重明先生の本にも同様に、これから死に面する人とどう接するか。

先生は牧師の息子であり、信仰を持っているからこそ、患者に寄り添えるのだとも思うのだった。
日野原重明先生が書かれていた「疾病」と「病気」の違い。
それは、「疾病」は「ここの部位にこういう症状がある」などと、レントゲンなどで誰でも理解できるもの。客観的にわかりやすい。
それに対して、「病気」は、「痛い」「「痒い」「眠れない」など、個人的なものなのだ。
日野原先生は、そういった「病気」に対して、神学生、曹洞宗僧侶になろうとする人、看護師らに伝えておられる。
化学ではなく、術なのだ、と。
専門用語、読めないラテン語などもかなりあり、難しくもあったが、非常に良い書であった。

聖書にある通り、私たち人は必ず死ぬのだ。




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