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(株)貧困大国アメリカ~読書記録97~

2013年オバマ政権時代に書かれたジャーナリスト堤未果さんによる書である。

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題に、(株)とあるのが、この本で著者の言いたいことをズバリ!表していると思う。

まず、農業の事。ウィスコンシン州、ミズーリ州、ニューヨーク州、などなど。「大草原の小さな家」シリーズのローラの本に出て来る地が出て来るのだが、ローラやアルマンゾ、その父親の世代の農業とは随分違ってしまった。アメリカは広大な土地である。が、ローラの暮らしていた時代、放し飼いしていた家畜は昔の話。
1年中、大きなスーパーに行けば安く何でも手に入る。これは農業が工場化されたからで、農業は投資の対象ともなったのだ。

そう、つまり、アメリカは「株主至上主義」の国なのだ。これこそが資本主義なのだろうが。

利益追求の為に、狭い鶏舎に入れられ、くちばしの先を切られた鶏たち。乳を沢山出すようにと薬漬けにされた牛たち。他にも、豚など、抗生物質にホルモン剤にと。
更に、遺伝子組み換え食品の数々。アメリカ製の物を買うのが怖くなった。
少し前は、中国製でなければいいか。などと、冷凍食品やら肉やらアメリカ産を求めていた自分。豚肉も牛肉も国産よりも安いから。今後は買わないだろう。
オーガニック野菜も、実は安全でもないのだなと知った。

更に、驚くことに、公共の物、税金で賄うべきものが、なんと、民間企業に委託の州もあるのだ。例えば、学校。チャータースクールと呼ばれるものが増えてきている。

刑務所も民間委託したり。本来なら、州の税金でやるべき公共工事等を賃金削減目的で囚人に仕事をさせたり。そして、法律さえも、投資家や大企業に有利な方に作られていく。

アメリカは、日本やヨーロッパの国々のように国民皆保険というものはない。これは知っていた。
30年ほど前、友人が夫の転勤でアメリカに住むようになり、色々知った。
国民皆保険がないからと、民間保険に入ろうとしたら、彼女は痩せすぎているからと審査が通らず、入れなかったという。一般の日本人からすると標準的な体系なのだが、アメリカ人にはそうは映らないのだろう。
アメリカに住んでからは滅多なことでは病院に行かなくなったという。
「日本人は、ちょっとした事で医者に行きすぎ!よっぽどの高熱でないとアメリカでは病院に行けないから」と彼女。
10割負担で、民間保険にも入れず、かなり高いらしい。
おいおい。ちょっと、ちょっと、ちょっとー。
彼女は、日本に来ると、歯医者だの耳鼻科だの行ってるぞ。旦那様は日本の企業だからね。

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そして、アメリカ大統領は誰がなっても同じなのかもしれない、と思うのだった。大企業からの献金がないと選挙活動は出来ない。
オバマ大統領は公約を破る事しばし。それは仕方ないことなのだ。


工場化し、動物、野菜、土地をなんとも思わない人が投資目的として株式化している農業。働く人たちは意欲もなくなる。
チャータースクールは格差を生むだろうと思った。

資本主義。株主至上主義。それは社会の格差を広げる物。

貧困層が受け取るフードスタンプ。安く栄養のない空腹を満たすだけの食べ物で、肥満や病気になる。

しかし!!10年前に書かれた本書。現在の日本にも当てはまるのではないか?と思わざるを得ない。格差は広がり、簡単にクビを言われる非正規雇用者。

ずっと、トランプ大統領が言っていた「アメリカファースト」を聴くたびに、「それって、白人、アングロサクソン系の人だけがアメリカ人てこと?トランプさんや側近さんも移民やんか。アメリカ人て本当は先住民の事やないの?」と思っていた。

トランプ氏のアイコンを使っている日本人(ネトウヨとか言うのだろうか?)は事実をわかっていないのかもしれない。

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