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着物 | 大島紬

大島紬を解いてブックカバーにしたものを気に入ってつけていたら、本物の大島紬を引き寄せた。
ちなみにブックカバーの下は岩下尚史著の「名妓の夜咄」。

予算は3万円。バッグに本と財布、携帯、ノート、水筒を詰めてたんす屋の着物バザールへ。
久しぶりにまた行こうとなったのは、『おとなの浴衣、はじめます 山崎陽子著』の本を読んだ。
さらに心惹かれたのは副題の、ー春から秋までたくさん着たい!ー。
図書館で見つけた時の「浴衣って半年くらい着ちゃって大丈夫なの?」という疑問と驚き。
おそるおそる手に取ると浴衣のカジュアルな着こなしから着物風なシックな装いまでが載っている!この着方ならば夏祭りっぽくならない!
それから良い浴衣は6月までに入手しないと買われて無くなってしまうと聞いたので慌てて着物バザールの予約をした。

私は地唄舞をやっている、始めてやっと半年というところ。日本舞踊と言えば理解してもらえると思う。
稽古は冬は着物に半幅帯、暑くなれば浴衣と半幅帯でやっている。名古屋帯を締めるのも練習がいる。先生やお姐さん方の着物・浴衣姿にはうっとりさせられる。
私もお姐さんのようになりたい、毎日でなくても週末だけでも和服を着る人になりたい。

当初の目的は着付け次第で着物風にも着れるシックな浴衣を買いたい、だった。
バザールへ行って着物を熟知した馴染みの案内人とともに数ある着物や小物を見てまわりスタイリングのアドバイスや夏の柄の合わせ方を教えていただいた。毎回プチ講座を聞くのは楽しいし、新品・リサイクル着物なんでもござれで見るだけで面白い。
多少予算オーバーではあったけれど当初の目的私の身丈に合いシックな麻混の浴衣、それに合う小物を袋に入れいざ会計という段階で目についてしまった。大島紬のコーナー...
まだ私に買えるものじゃない。
「いつか私、大島紬着たいんですよねー
 あ、この柄素敵〜!」
大島紬特有の渋い黒、飛び柄で花が織られている。八掛は艶のある深紅。渋さの中にあるエレガントな一枚に惹かれた。
手を伸ばし値札を見て案内人と私は驚愕した。
桁が1つ少ないのではないかと...
私と案内人は急いで目当ての大島紬を手に取り、私に大島紬を着せ鏡をみて合わせてくれた。
身長165cm、裄は70cmないとつんつるてんになってしまう私になんとぴったりだった。
十分なお端折りもある。
私のために誂えたのかと思うほど。
しかもしつけ糸までついている。汚れもない。
大島紬は親子3代に渡って着れるというほどである。ここで買わねば損。いつか着たい、は今ここで現実にできる。

会計には、浴衣と小物、大島紬が流れた。

悲しいが予算的には数万円のオーバー。
しかし心は大満足である。
6月はすでに暑い日が続き買った麻混の浴衣をどんどん着れそうである。地唄舞の先生に見せたら何と褒めてくれるだろうか。
大島紬は寒くなってくる秋口からだ。
この1枚を着る私はどんなだろう、赤リップを今度買いに行こう。

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