積聚治療の”なぜ”(4)
積聚会副会長 加藤 稔
『積聚会通信』No.5 1998年3月号 掲載
2022年10月 筆者加筆修正
いよいよ治療の本題の入り口とも言える積の決定に至る。
患者の訴える症状から積をだいたい予想することが可能なときもある。
さらに施術者は患者のお腹に押し手を用いて積の決定要素を探るために触腹する。
腹部を大まかに上・中・下・左・右の5分割にして、押し手を軽く臍の部位に載せ、そこからゆっくりと描くような流れで、腹部の皮膚の温度の分布を探ることを行う。
その過程で問題らしき硬いところ、軟らかいところ、虚しているような、実しているような部位へとポイントを絞っていく。
積を調べるに際して、押し手の力の押し方は強・弱、浅い・深いと分けるなど行うが、ここでおもしろい現象によく遭遇する。
弱い押し手で浅いところを押すと、時に患者は痛いという。そのままさらに押していくと患者からは、先ほどよりは痛くないという。
実に不思議なことで、2~3ヶ所もあると言われた時、積を決定する際にいろいろと悩みとなる。
”なぜだ、なぜだ”と自分自身、に問い直すことが多々ある。
しかし、治療効果の結果に楽しんでいることもある。
積の決定要素としていったいどんな要素があり、それらの要素をどのように組み立ていけば良いのか?
治療の上で、”なぜ”と問いかけながら施術を決めながら進めていくことはおかしいのかもしれない。
しかし、一穴での施術が患者に及ぼす効果は、同じ患者であっても日により、午前・午後の時間によっても異なったりすれば、当然ここで”なぜ”との疑問が出てくる。”ねずみ算式”の構図に似ているようだ。
コロコロと変わる積、陰・陽の変り身なのか?