三貴神の本当の姿


休日の朝、5時前、ふと目が覚めたら、思わぬコトバたちが頭に浮かんできました。浮かんできたコトバをノートに取っていると、ストーリーができている。と、いうことで、そのお話を記事にしました。

三貴神は三兄弟なのか

伊弉諾尊から生まれた三人の神様。天照大御神さま、月読の命さま、素戔嗚尊さま。

天照大御神(あまてらすおおみかみ)さまは、伊弉諾尊(いざなぎのみこと)さまの左目から生まれ、月読命(つくよみのみこと)さまは右目から生まれた。そして素戔嗚尊(すさのおのみこと)さまは鼻から生まれた。

このようにみると、天照大御神さまと月読命さま、素戔嗚尊さまは時を同じくして生まれたように感じる。

だが、天の岩戸開きのお話を読むと少し違うようだと感じる。何が心に引っ掛かるかというと、天の岩戸に入る前の天照大御神さまと、天の岩戸から出たあとの天照大御神さまが別人のように描かれているから。

天の岩戸に入る前は、すべて自分ひとりで考え、決断し、行動に移していた。ところが、天の岩戸を出てからは,タカミムスビさまという神様に相談しながら物事を行うようになった。

つまり、天照大御神さまと呼ばれる人は二人いる、と考えたほうがしっくりくる。岩戸隠れの前の自分を振り返り、周りの意見を取り入れるようになったと考えることもできるが、全く別人に変わるということは考えにくい。

天の岩戸隠れは、天照大御神さまの死を表したもの。そして、新たな天照さまが現れたと。

では、どのような人が新たな天照さまとなったのだろうか。それは、年の離れた後継者と考えられる。

結論から言えば、台与(とよ)さんであろうと。

天照大御神さまは、邪馬台国最初の王、卑弥呼さん。そして、その跡を継いだのが台与さん。

つまり、伊弉諾尊さまから生まれた三貴神は、三人兄弟であっても、年齢が離れた兄弟姉妹なのです。

そしてもうひとつ。三貴神は、異母兄弟と考えられます。それは、伊弉諾尊さまの違う部位から生まれているから。

三人も奥さんがいたのか? と不思議に思うかもですが、それは今の時代の考え方。二千年以上前の日本では、多くの女性に子を産ませるということは当たり前のことだったから。

それは単に男尊女卑とかいう考えではなく、多くの部族の女と子を儲けることで、血縁関係を作り、国を治める土台としていたからです。

天照大御神さまと素戔嗚尊さまの年齢は離れているのか

このお二人は同じくらいの年齢です。古事記の中でお二人に関するエピソードがたくさんありますから。お二人は同じくらいの年齢と考えることができます。

ただ、台与さんは年の離れた兄弟。それは、月読命さまだけがエピソードがほとんどない、ということからも分かるでしょう。

素戔嗚尊さまとはどんな方だったのだろう

ここでちょっと、素戔嗚さまについて考えてみます。素戔嗚さまは古事記では、生まれてから、ずっと泣きとおしで、髭が生えるまで何もしなかった、と書かれています。

なぜ、こんなことになったのか。素戔嗚さまが父である伊弉諾尊さまから託された仕事は海を守るということ。海を守るというのは、日本を守る、つまり軍人となることです。

素戔嗚さまはもともと戦うことが嫌いな心優しい人。だから、敵とはいえ人を殺すという職業に耐えられなかったのでしょう。父から与えられた仕事ですから、精一杯国の防衛に尽くしました。でも、いつも心は泣き叫んでいた。

そんな心情が、泣きとおしたという表現で描かれていたのです。

天照さまと素戔嗚さまの対決はどういう意味があるのか

一言でいうと、姉と弟の喧嘩です。

古事記では、素戔嗚さまが天照さまに会いに来ると分かったとき、天照さまは戦いの装束をまとい、弟を待ちます。

なぜ、このような表現がされているのか。それは天照さまの気質によるものです。天照さまは、国の運営を一人で行うほどの気丈な方。一方、防衛を担当する弟は心根の優しい方。

それまでにも何度か素戔嗚さまが軍人を辞めたいといった話し合いをしていたのですが、いつも姉が押し切っていたのです。でも、今度は弟は本気だろう、でも何としても弟の願いを叶えることはできない。そんな強い気持ちが戦いの装束に身を包んだという表現になったのです。

でも、弟はそんな姉を諭すかのように静かな話し合いを望んだのです。話し合いの末、姉は弟の気持ちを尊重することに。

しかし、その時思わぬことが起きます。天照さまの死です。天照さまの死によって国内は乱れます。姉の死後、後を引き継ぐしかなかった素戔嗚さまは、政務に軍事に奔走しますが、さらなる予期せぬ出来事が起こります。

それは、敵の高官を焼き殺すという事件です。天照さまの死を知ったその高官が喋った言葉に激高した軍の者が報復という短絡的な行動に出、仕返しをしてしまった。そのことが国内の混乱に拍車をかけました。

素戔嗚さまはすべての責任を一人で背負い、すべての職を辞するということに。しかし、王のいなくなった日本はさらに乱れる。それだけは何とかしなくてはいけない。

そこで白羽の矢が立ったのが、歳の離れた異母兄弟の台与さんです。

自分は在野にくだり、政権を陰から支える

政権から離れた素戔嗚さまは、地方へと行き、そこで領主となります。治水工事など様々な分野で力を発揮し、人が住みやすい国を作っていきます。

その間も天照さまのあとを継いだ台与さんのことを心にかけていました。それで、ことあるごとにアドバイスを送っていました。

月読命さまは台与さん

ここでちょっと月読命さまについてお話ししましょう。

月読命さまは、父である伊弉諾尊さまの右目から生まれて、ほとんど登場することがありませんでした。それはまだ幼かったということが理由です。

なぜ、月読命が台与さんなのか。それは、邪馬台国を支えた女王は卑弥呼さんと台与さんの二人だからです。二人の高貴な方を天照さまと月読さまとした、ということです。

月読さまは男の神様ともいわれています。なぜ、そう言われるのか。それは台与さんのが意見がボーイッシュな方であったからでしょう。ただ、激しい性格の方といったイメージはなく、落ち着いた物腰の柔らかい方というイメージです。

素戔嗚さまは女王の交代にどのように関わったのだろうか

中心となって関わりました。

その理由として、日本書紀の中で、素戔嗚さまがオオゲツヒメさまを殺すというエピソードがあります。オオゲツヒメさまは食物の神様。月の関わる神様でもあります。

月に関わる神様を殺すということは、その役割を終わらせた、ということを暗示しているのです。

オオゲツヒメさまを殺したことがなぜ台与さんにつながるのか。それは、オオゲツヒメさまが月読さまであり、さらに豊受大神さまだからです。

少しずれるのですがお話ししましょう。

「先代旧事本紀(せんだいくじほんぎ)」という書物に、伊勢神宮の近くにある川、五十鈴川に天照さまと月読さまが並んで鎮座されたという記述があります。

その後、伊勢神宮の内宮に天照さま、外宮に豊受大神さまが祀られています。もともと月読さまが鎮座された場所に、豊受大神さまが変わって鎮座された、ということは、月読さまに何か変化があったからということでしょう。その変化というのが、台与さんが月読さまから天照さまに変わったということです。

では、月読さまがオオゲツヒメさまと同一の方かということですが、これは、「神道五部書」などを紐解けば同一の方であろうということがぼんやりと見えてきます。

なぜ、こんな面倒なことをするのか。それは、台与さんが月を祀る月の巫女だったから。月の巫女である方を、卑弥呼さんの後継とするには日の巫女であるとしなければいけないからです。ただ、台与さんはもともと月の巫女であった、ということを残しておくために、オオゲツヒメさまを殺したというエピソードを作ったのですね。

さて、話を戻します。

素戔嗚さまは、姉が死に、自分もすべての責任を取って職を辞するとき、国の行く末を深く憂慮されました。

このままでは、国は分裂し、また争いが起きる。そうしないためには新たな女王が必要。そこで、歳の離れた妹である台与さんに目をつけました。

でも、まだ幼い台与さんが国を治めることは難しい。そこで考えたのが、後見人を作り、素戔嗚さまが陰から台与さんを支えるという方法でした。

素戔嗚さまはいくつもの伝記に残されているように、国作りに関して高い知識を能力、行動力を持ち合わせていた方です。さらに、心優しく、人々にも愛されていたのです。その証拠に、今も多くの神社でお祀りされています。

陰で台与さんを支えて、乱れていた国を、戦のない平和な国に戻すことに成功したのです。

なぜこんな面倒なことをしたのだろうか

それは、天照さま(卑弥呼さん)が若くして亡くなったからです。卑弥呼さんの年齢については、魏志倭人伝に高齢と書かれています。今のイメージでいうと、70歳とか80歳くらいと考えられます。

でも、当時は、お米のとれる期間を1年と考えていました。そして、お米は二期作、つまり一年に二度収穫があったのです。このことから考えると、卑弥呼さんの年齢は30代。つまり後継者のことを全く考えていなかったのですね。

そして台与さんは7~8歳。いくら卑弥呼さんの妹とはいえ、この年齢で国を治めることはできません。だから、素戔嗚さまが陰から支えたのです。

当時は今のように高貴な人が民衆の前に出ることもなかったでしょうから、年齢が若いといってもいろいろごまかせることもできました。それで、台与さんが前面に出ることはなく、後見人であるタカミムスビさまが一切の政務を行ったのです。

以上!

最後までお付き合いいただきありがとうございました<(_ _)>


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?