日本のファクトチェック(Gohoo)がフェイクニュースを生み出した話

 これはエッセイというものなので、自分の経験から「そうじゃないんかね?」と思ったことを書いた文書なので、そういう風に読んでください。

 想定読者は大学生くらいなので、かなり冗長に書いています。

誤報だけを報じるメディアの誕生

 2012年、今から9年前に「日本報道検証機構」なる団体を産経新聞の元記者が立ち上げた。詳しくはWikipediaを見てもらえればいいと思う。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%A0%B1%E9%81%93%E6%A4%9C%E8%A8%BC%E6%A9%9F%E6%A7%8B

 この団体は2019年に解散することとなったが、この時の代表者のTweetが下記の通りの物である。

 これをみれば、ずいぶん誤報を指摘しているように見える。が、果たしてどうであろうか。

誤報が多いように見せかけるテクニック

 自分は昔から朝日新聞を取っていたので、朝日新聞の話をするが、朝日新聞は朝刊が大体36ページ、夕刊が14~16ページくらいある。広告のページもあるが、大抵は一ページに5記事くらいあるもので、(36+14)×5=250記事くらいが一日に掲載されることになる。

 250記事もあれば、どんだけ頑張ってもどこかで間違いは出てくる。すると、翌日か数日後に訂正記事が出ることになる。訂正記事は大抵は社会面、つまり一番後ろのテレビ番組表のラテ欄をめくったページに掲載されることになる。もちろんでない日もあれば、一日に2件くらい出てる場合もある。

 余談だが、自分が仕事で読んでる業界紙は6ページくらいしかないのにしょっちゅう訂正記事がでてるので、朝日新聞はやっぱりちゃんとしてるなという気はする。会社の役職の間違いが多い気がするが、大丈夫だろうか・・・

 それでも、一か月のうち半分にこまごまとした誤報があれば、15日分くらいは出てることになる。

 朝日新聞の場合、昔は訂正欄がごく小さかったが、最近は「訂正して、おわびします」というタイトルがついてずいぶん目立つようになった。

 紙の新聞では、ごく小さい誤報欄であるが、問題はここからである。

 朝日新聞のサイトに飛ぶと、検索枠がある。ここに「訂正して、おわびします」と入力するとどうであろうか。誤報の一覧の誕生である。例えば、普段は新聞を読んでいない人がこの一覧”だけ”を見せられたらどう思うであろうか。

フェイクニュースがはびこる土壌を作るファクトチェック

 最初に戻る。

 上記のうち、旧サイトの記事のうち「訂正紹介記事」が半分を占める。新サイトの「誤報検証記事」に至っては2/3を占めることとなる。

  この、訂正紹介記事というもの、紙の記事しかない時代であれば作成するのは大変であるが、ネットの時代だと簡単である。

 しかも、ちょうど2012年は報道機関への風当たりが強い時代である。報道機関叩きで、誤報まとめサイトがあればそれはアクセス数も増えるであろう。

 もし、普段新聞を読んでいない人間、つまりネットの人間がネット上にあるこの記事「だけ」を読んだらどう思うであろうか。報道機関は毎日誤報を連発している「ように見える」のではないか。統計上はそう見えるが、簡単な誤記の訂正記事ですら大きな誤報をしているように見えるのではないか。毎日、ニュースを読んでない層、単に新聞を叩きたいだけの層へこれらの記事を出せばどうなるであろうか。特に、Agoraとかいうサイトがあって、報道機関を叩ければ自分が賢くなったきになる人間が集まるようなサイトへ出稿していたらどうだろうか。

米国大統領選挙の日本での陰謀論者の多発

 もう大体何が言いたいかわかると思うが、米国でない日本で米国大統領選挙の陰謀論、特にCNNやNYT、WPへの異様な敵意が生じたのであろうか。その答えがここにあると思う。

余談

 今から10年以上前の2chですら、2chの書き込みそれ自体や怪しげなサイトを情報源(ソース)として取り扱ったら、「情弱(情報弱者)」扱いされたものである。怪しげなサイトや2chの書き込みを元に報道機関の報じる内容を否定する人間は「ソースは?」と言われて、出せなければ情弱である。

 そういう時代の方がよかった。今はクソ。

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