#199 北朝鮮は経済大国だった?

国民の大半が貧困に苦しむ現在の北朝鮮だが、かつて経済大国だった時代があった。
日本の敗戦をきっかけとして北朝鮮と韓国が独立したのだが、北朝鮮は当時は世界でも有数の工業国としてスタートした。対して、現在ではアジアNIESの一角となっている韓国は、農業国としてスタート。工業はゼロから始めるような状況だった。なぜこのような違いが生まれてしまったのか。

朝鮮半島の北側は山が多く、急流となる川が多かった。日本の統治時代、川がせき止められて多くのダムと水力発電所がつくられた。その豊富な電力を使用して、日本は朝鮮半島北部を工業地帯として開発したのである。
一方、比較的温暖で農業に適していた南部は農業地帯として開発された。このような南北の分業が、北朝鮮=工業国、韓国=農業国というスタートを切らせたのである。

北朝鮮は工業が発展したものの、農業が発展していなかったため建国当初から食料不足に陥っていた。そこで、金日成は山の斜面を切り開いて段々畑をつくり、トウモロコシを植えて食糧を増産しようとするキャンペーンを行った。しかし、斜面で作られることの多いお茶やかんきつ類と違って根が浅いトウモロコシは、大雨による被害を受けやすかった。畑を開墾した結果、山は禿山となり、保水力が失われ、大雨が降ると洪水や土砂崩れが起きやすくなっていった。土砂が流失しやすくなったことで川底に土砂が堆積し、浅くなっていく。そして、少しの雨でも川が氾濫しやすくなってしまう。畑をつくるために出された「山の木を切れ」という命令が、森林を減少させ、国民の首をさらに絞める結果になってしまったのだ。
さらに、肝心の工業も競争のない社会主義体制のもと衰退をたどり、現在の貧しい国になってしまった。

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【参考】


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