#81 ホントは怖い「蛍の光」

卒業式で歌う学校もある「蛍の光」。閉店の音楽としてもおなじみだ。
原曲はスコットランド民謡の「オールド・ラング・サイン」である。直訳すると「久しき昔」という意味になる。
この旋律はさまざまな国で別れの歌として広まっており、イギリスのEU離脱の際にはEU議会で合唱された。

日本では明治時代に小学校の唱歌(現代で言う「音楽」の科目のことをさす。また、その授業で歌われた曲のこと)として発表され、現代まで親しまれている。

おなじみの歌詞と意味は以下のHPで参照できる。

さて、一般に卒業式で歌われているのは1番と2番である。卒業式にふさわしく、級友との別れを惜しむ歌詞となっている。

しかし、社会科的に注目すべきは3・4番だ。
先のHPから歌詞の意味を引用する。

3.
九州の果てでも 東北(陸奥)でも
海や山で遠く隔てられても
真心は隔てられることはなく
ひたすらに力を尽くせ 国のため

4.
千島列島の奥も 沖縄も
日本国の護りの要(かなめ)
統治の及ばぬ異国には勇敢に
尽力せよ我が兄弟 無事であれ

Webサイト『世界の民謡・童謡』

3番は「日本全国1つになって国のために尽くしましょう」、4番は「千島列島も沖縄も日本の要衝だから頑張って守りましょう」という何とも戦前の日本を象徴するような内容の歌詞になっている。

理由は明らかになっていないが、日本の敗戦後、愛国心を高揚させるような内容の歌詞として3・4番は歌われなくなったようで、単なる別れの歌として現代にいたっている。

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