#240 偏西風はなぜ西から吹いている?

日本の天気は西から東に移り変わることが多い。
フィリピン周辺で発生した台風は北上し、日本付近で急カーブをして東へ進む。
西岸海洋性気候は北大西洋上の温められた空気がヨーロッパに流れ込むから高緯度だが温暖になる。

日本の気候にも影響を与えている偏西風は、なぜ西から東に吹いているのか。

そもそも偏西風とは、北半球と南半球の中緯度帯(赤道や北極・南極でない緯度帯)で西から東に吹いている風である。

偏西風が中緯度帯に吹く理由を知るためには、大気大循環と呼ばれる地球上の大気の大まかな循環を理解する必要がある。
詳しくは次の動画で分かりやすく説明されている。

偏西風が西から東に吹いている理由を一文で言うと、「中緯度高圧帯から亜寒帯低圧帯に向かって吹いている南風が、地球の自転の影響で東向きに曲がっているから」である。

緯度30度くらいの地域を中緯度高圧帯と言い、赤道付近で温められた空気が下降気流を形成することから、乾燥した気候になりやすい。
逆に、赤道低圧帯や緯度60度付近の亜寒帯低圧帯は上昇気流が発生しやすいため、降水量が多くなりやすい。

理科で習うように、高気圧から低気圧へ向かって風が吹くため、中緯度高圧帯から赤道低圧帯、中緯度高圧帯に向かって風が吹く。その風が地球の自転による「コリオリの力」によって進行方向から右に向かって曲がることになる。

コリオリの力についてはかなり理解するのが難しいのだが、こちらの記事で紹介している動画が参考になる。

緯度40度前後の日本付近やヨーロッパなどでは、中緯度高圧帯から亜寒帯低圧帯に向かって南から北に向かって風が吹くため、その風がコリオリの力によって進行方向右に曲がり、西から風が吹いている状態になる。

逆に、赤道付近では中緯度高圧帯から赤道低圧帯に向かって風が吹くため、北から南に向かう風が進行方向右に曲がり東から風が吹いている状態になる。この風を「偏東風」や「貿易風」と呼ぶ。

かつての航海は風の力を利用して行われていたため、風を利用して貿易を行ったという意味で「貿易風」という名前になったそうだ。

飛行機もこうした風に乗ることで速く進むことができる。
例えば、東京からニューヨークに向かう場合は偏西風を利用することで12時間15分で到着することができるが、同じ航路をニューヨークから戻る場合は偏西風が向かい風になるので14時間かかってしまう。

私たちの暮らしには「風」が密接にかかわっている。

【目次】

【参考】


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