#99 「平和島」は平和だった?

東京都大田区にある平和島は、戦前に埋め立てによって人工的に作られた島である。現在はボートレースの聖地である平和島競艇場があることで有名である。他にも、天然温泉や映画館が入ったレジャー施設や大きな公園があり、多くの人々が訪れている。

平和島はなぜ「平和」とついているのか。
第二次世界大戦中、最初に埋め立てられたのは現在の競艇場の観客席がある辺りのみで、この埋立地は本土との行き来が180mの木橋でしか行き来することができなかった。「東京俘虜収容所」(連合国軍の捕虜兵士を収容する施設)が置かれた。収容された捕虜の数は最大600人以上にもなったという。戦後は、反対に日本のA級戦犯の仮収容所(通称「大森プリズン」)となり、施設が巣鴨の拘置所に移転するまで利用された。後に巣鴨で処刑された東条英機や、後に首相となった岸信介も一時はこの地で収容されていた。

第二次世界大戦の象徴とも言える平和島は、後世の平和への思いをこめて「平和」と名付けられたのである。

【参考】


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