#247 そもそも「経済」って何?

教科書に何十回も登場し、私たちが日常的に使っている言葉、「経済」。
英語にすると「Economy(エコノミー)」。
何となくは想像できるが、経済とはそもそも何なのか。

経済とは、次のように定義される。

人々が生活するために必要となる物やサービスを生産し、分配、消費する活動や流れ
生産・分配・消費活動における、それぞれの活動のなかで営まれる社会的な関係

経済とは何か?経済学では何を学ぶのかをわかりやすく簡単に解説

要は、私たちが当たり前に行っている「つくる→売る→買う」といった活動すべてが経済ということだ。

では、「経済」という言葉はどこからきたのか。
「経済」は、中国の「経世済民」という言葉を短縮したものという説が有力だ。

中国の古典に、「世を経めて(治めて)民の苦しみを済う(救う)」という意味で「経世在民」という言葉が使われていた。
つまり、民の暮らしを救うために、さまざまな公的政策を行おうとすることが、経済の本来の意味だった。

英語の「economy」はギリシャ語の「オイコノミア」という言葉が語源となっている。
オイコノミアは「オイコス」と「ノモイ」という2つの言葉が合わさったもので、オイコスは家庭、ノモイは法律やルール、規則といった意味がある。つまり、オイコノミアは直訳すると家庭の管理・ルール(これを家政とよんだ)という意味の言葉である。

後に、国家を意味する「ポリティカル」(Political)という言葉を足して、「Political Economy」という言葉がつくられた。現代で言うところの「政治経済学」のような意味合いの言葉である。
当時は、個人レベルの経済(家政)と、国家レベルの経済は分けて考えられていたのだが、現在はEconomyも「Political Economy」と同意として用いられる場合が多い。

明治時代、「Political Economy」に「経済」という訳語があてられた。
「経世在民」にしても、「Political Economy」にしても、本来は政治学と経済学が合わさったような意味の言葉だった。
それが、いつしか政治・政策といった意味合いが薄れ、単に「お金の流れ」や「人々の生産・消費活動」といった意味で使われているのが現在の「経済」という言葉である。

ちなみに、経世在民の略語ではなく、現代的な意味での「経済」という言葉は、中国などの漢字文化圏に日本から逆輸入され、広く用いられるようになっている。

【目次】

【参考】


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