#37 スイスの家庭には銃があるのが当たり前?

永世中立国と知られているスイス。永世中立国と言えば、軍隊もなく、戦争もなく、平和なイメージを持つ人が多いが、そんなことはない。
永世中立国とは、自分から戦争を起こさないし、多国間の戦争が起こっても中立を保つということが世界に認められた国という意味である。
敵がいないということは味方もいない。もし自国が攻められれば自国の力のみで敵国の侵略を防がなければならない。そのため、国民が自分の手で自国を守らなければならないという意識が強い。

スイスの人口約830万人のうち、およそ200万人が銃を保有していると言われている。スイスでは、1600年代から現在まで、「クナーベンシーセン(少年による射撃)」という大会が毎年開催されている。幼少期から銃の使い方が当たり前のように教えられている。
18歳~34歳で兵役に就く男性には、ライフルが与えられ、いつでも出動できるように自宅でライフルを含めた装備品を管理する。兵役後はそのライフルを買い取ることもできる。
このように、自国を守るために銃が身近にあるというのがスイスの特徴である。ちなみに、銃による死亡率はアメリカに次いで2番目だが、アメリカと違って銃の乱射事件は稀で、銃による自殺が大部分を占めている。

スイスの山岳地帯には「トーチカ」と呼ばれる軍事拠点が多数存在し、焦土作戦を行うためにインフラは適宜爆破できるように準備されている。さらに冷戦中の1960年代には新たに建築する建物に核シェルターを設置することが義務付けられ、現在は国民全員以上の人数が避難できるだけの設備がある核シェルター大国となっている。
このように、スイスの「永世中立」は、途方もない準備と努力によって成り立っているのである。

参考


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