#139 国際連合は英語で何という?

国際連合は英語で何というか。
とくに難しいのが、「国際」の部分だ。
生徒に聞くと、
international(国際的な)、Worldwide(世界的な)、Global(全世界の)などの単語が出てくるが、なかなか正解が出て来ない。
それもそのはず、「国際連合」が意訳だからである。

正解は、「United Nations」。直訳すると、「連合した国々」となる。
つまりは第二次世界大戦で枢軸国と敵対した「連合国」のことだ。
国際連合広報センターによると、連合国という名称の発祥は次の通り。

「国際連合(United Nations:連合国)」という名称は、第二次世界大戦中にアメリカのフランクリン・D・ルーズベルト大統領が考え出したものであった。その言葉が最初に使われたのは、26カ国政府の代表が枢軸国に対して共に戦うと誓った1942年1月1日の「連合国宣言(Declaration by United Nations)」の中であった。

https://www.unic.or.jp/info/un/

そして、国際連合は終戦直後の1945年10月24日に正式に設立した。
国際連合の基本方針を示した国連憲章には、戦争から70年以上経った現在でも、日本・ドイツ・イタリアを敵国として規定する「敵国条項」がある。

第53条
1.安全保障理事会は、その権威の下における強制行動のために、適当な場 合には、前記の地域的取極又は地域的機関を利用する。但し、いかなる強制行動も、安全保障理事会の許可がなければ、地域的取極に基いて又は地域的機関によってとられてはならない。もっとも、本条2に定める敵国のいずれかに対する措置で、第107条に従って規定されるもの又はこの敵国における侵略政策の再現に備える地域的取極において規定されるものは、関係政府の要請に基いてこの機構がこの敵国による新たな侵略を防止する責任を負うときまで例外とする。
2.本条1で用いる敵国という語は、第二次世界戦争中にこの憲章のいずれかの署名国の敵国であった国に適用される。

https://www.unic.or.jp/info/un/charter/text_japanese/

他にも、第77条、第107条にも枢軸国を敵国とする記載があり、合わせて「敵国条項」と呼ばれている。世界のほとんどの国はこの条項を「時代遅れ」と認識しており、日本も改正を求めているが、実現には至っていない。

また、国際連合の中心機関である安全保障理事会は戦勝国であるアメリカ、ソ連、中国(発足当初は中華民国)、フランス、イギリスの5か国が常任理事国であり、拒否権という絶大な権力を持っている。

このように、国際連合は戦勝国である「連合国」を母体とした機関であるため、日本ではあえて「国際連合」と意訳し、戦勝国と敗戦国とイメージが定着することを払拭しようとしたのである。

ちなみに国際連合の前身である「国際連盟」は英語で「League of Nations」という。こちらは英語に則した訳となっている。


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