#195 国会の決定事項は何人の意見?

民主主義の原則は多数決である。
日本は間接民主制をとるため、国政選挙で選ばれた代表者=国会議員が多数決で政策を決定している。

議論を重ねて全会一致で可決できるのが理想だが、実際は多数決で多数派の意見が採用されている。国会も例外ではない。

国会で決まることは多数派の意見である・・・と、言いたいところなのだが、ほんとにそうだろうか。

まず、国会で議題を可決するためには何人の票が必要なのだろうか。
国会での会議が成立するには、一定以上の国会議員が会議に出席する必要がある。その数を「定足数」という。

本会議の定足数は、憲法で「3分の1以上」と決められている。
衆議院の議員数は465名のため定足数は155名、参議院は248名のため定足数は83名となる。
全体の3分の2近くの議員が会議を欠席するということは想定しづらいが、憲法上は衆議院は155名、参議院は83名で会議は成立する。仮に定足数ぴったりの人数で本会議が開かれた場合、衆議院は78人、参議院は42人の賛成で議題が可決される。
実際には起こらないだろうが、制度上は全体の6分の1の人数の可決で国の方針が決まってしまう可能性がある。

さらに、そもそも国会議員は国民の意見を反映しているのかという意見もある。国政選挙の投票率は、50%台まで落ち込んでいる。
もちろん、選挙に行かない有権者が悪いのだが、国会議員は有権者のおよそ半数の代表ということになる。
さらにその6分の1となると12分の1。極端な話ではあるが、有権者の12分の1の意見で政策が決まってしまう可能性が、「あるかないか」で言えば「ある」。有権者の数は約1億600万人なので、その12分の1は約883万人だ。

具体的な数字を見ることで、多数決の妥当性を考えるきっかけになってほしい。

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【参考】


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