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【小魚通信】

私には子どもが一人いる。現在は12歳だ。

過去にとあるSNSで、気が向いたときに友人限定育児日記を発信していた。その友人限定で発信していた育児日記が「小魚通信」だった。

私は、子供の頃の記憶を殆ど覚えていない。大人になっても余り多くの出来事を覚えていない。

そんな私が、二十歳の頃、カメラに出会った。

ある知人が撮った写真がとても素敵で、自分でもカメラを始めてみたいと思った事がきっかけだった。

バイトをして勧められたカメラのボディとレンズを購入して、そこからカメラを持ち歩いた。

それから写真が私の記憶代わりになった。

そして12年前出産した。そこから私は子供の成長を写真とビデオに収めてきた。

うちの小魚(娘)は、出産後から物凄い音量で泣き叫んだ。病院のナースステーションから聞こえる泣き声は明らかにうちの小魚の声である。

眠いのに寝る事が出来ない。寝られないけれど、眠い。そして泣き続ける。そんなのが昼夜1時間以上続くのはざらだった。どうやったら寝てくれるのか、寝るまで大音量で泣きわめき続け、そして縦抱っこをじゃなければ全く寝なかった小魚。やっと寝たと思ってベッドに置いても、起きてまた泣き続ける。

そんな状態がずーっと続き、私はノイローゼになり、そして腱鞘炎になった。

全く寝られず、泣き続ける小魚。色々試してみるけれど、どうしたら良いのか分からない私。そして、そんな私が何とかしてみようと試してみたのが音楽をかける事だった。

彼女が眠くて泣く時間帯はヒーリングミュージック。そしてEnya。子守唄はレベッカの「人魚」。たまに、徳永英明さんの「Vocalist」。メロディーが優しく自分も心地よくなりそうな音楽をかけては何とか乗り切った。

それでも寝付くまでには相当時間がかかった。縦抱っこで寝付くまで揺らしながらの毎日は、小魚の成長とともに腰にも痛みが来るようになった。

そんなストレスに追い打ちをかけたものがあった。それは出産前に購入した育児本だった。

心配性でもある私は、その育児本を読んでは「きちんとやらないと!」と常に自分にプレッシャーをかけていた。本に記載されている発育年齢に自分の子供がきちんと当てはまっているか?まだ出来ていないのであれば、もしかしたら何かあるんじゃないか?

育児本を読むにつれ、小魚の事例が記載事項に当てはまらない事があったらかなり不安になった。

眠りが落ち着いてどんどん長くなるでしょうって書いてあるけれど、一向に寝付かない。何でだろう。神経質なんだろうか?何が問題なんだろうか?

小魚の生育状況とそれに乖離がある度、育児に自信が持てず心配は日々増していきプレッシャーとなっていった。

そして、ある日私は育児本を売った。

もう、いいや。本があると見てしまう。見ないようにしよう。ストレスを抱え込んだら私がおかしくなっちゃう。そして彼女の成長にも良くない。

それからの私は、ふっきれた。もう仕方が無い。何をやっても駄目なんだ。寝ないんだもん。もう割り切るしか無い。もういいや、一緒に楽しんで遊んでしまえ。それからは炊飯中彼女をおんぶ紐でおんぶしては、音楽と共に歌い、そして踊った。一緒にリズムで遊んだ。

そんな小魚は音楽が好きになった。

10ヶ月から保育園に行き始めた小魚。その後ある日キラキラ星を歌ったら、小魚が一緒に鼻歌を歌った。そしてその音程に全く狂いがなかった。

私はかなり驚いた。この子は音をキチンと取れている。言葉を話す大分前の事だった。多分1歳の頃だったように思う。そして、私の取ったリズムと全く同じリズムを取って遊ぶ事が出来るようになった。

それからは、Michael BubleやMichael Jackson、ミュージカルWickedやRent、Disneyの曲やFuniculì funiculà、オペラやポップス、色んな曲を家の中でかけた。

言葉が話せるようになってからは、高齢者と一緒にカラオケに行っても歌えるよう美空ひばりさんの「愛燦々」を覚えさせた。

そんな小魚が歌ったり踊ったりしている映像は今でも残っている。

泣き声が大きかった小魚は、未だに声が大きい。今でも歌は大好きで常に家では歌を歌い続けている。イタリア音楽も好きだし、今はOne OK Rockがお気に入りだ。

面白い事に寝かしつけに聞いていたヒーリングミュージックやEnyaに至っては、今でもたまに自分で音楽をかけて寝たりしている。落ち着くらしい。

そして、子供の頃聞いた音楽を今聞いても、「あれ?これ聞いた事ある。」と過去の音の記憶が残っている。

そんな小魚、将来どんな音楽に興味を持っていくのだろう。今後も色んな音楽に興味を持って欲しいと思っている。


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