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益田ミリ「永遠のおでかけ」

ちゃんとした内容は覚えていないけどTwitterで見かけていいねを押していたので取り寄せた。
ツイートにはそんなふうには描かれていなかったはずなのに、内容は叔父や父の死に触れたエッセイ。
一周忌を終えた今手に取るなんて、と思ったり。

実家に帰ること、叔父の葬儀に立ち会った後、父の余命宣告から別れと日常に戻るまでが綴られている。
親が老いていく姿を見せるのが最後の子育て。
余命宣告を受け、食べたいといったのにほとんど口にできず、やりたかったことも体力がなくてできず、少しずつ別れに近づいていくことを受け入れていく家族。
お別れの後、ふとした時に父のことを思い出し、ちょっとしたワガママを聞いてあげなかったことを後悔し感傷に浸る。

母に最後に会ったのは70歳の時、2回目の癌手術の立ち会いだった。
すでに家は出ていたし、抗がん剤で髪が抜けたり食事もこれまでとは変わっていたり、それくらいしか変化がなくて、副作用とか治療とか本人がどう感じているのか聞くことはなかった。
最期は病院で過ごしたけれど、そこに至るまでの本人の変化を知ることもなかった。叔母からは口頭で転んだくらいしか聞いていなかったし、その深刻さを想像もしなかった。
老いていく姿を知らないということがこれからの自分には心配である。

昔話は生前よく聞かされたので葬儀や法事の時もその話で盛り上がった。
母には私が、伯母達には従姉妹がいたけれど、独身の叔母には自分がどう感じているのか話す人はいるのだろうか。
だから、叔母の話をちゃんと聞いておきたい。
最期に向けてどうあるべきか、色々考えさせられる本でした。

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