2017/11/24 安藤忠雄 挑戦@国立新美術館(サービス精神満タンの「挑戦」)

朝イチで行ったのに、もぎりで待たされるほど。
回顧展なんてやっている場合じゃない
と言うだけあって、これまでの作品の写真やらミニチュア模型やらが所狭しと並んでいた。
本人のコメント付音声ガイドは仕事をする上で感じたことを述べていて、説教染みた内容だけれども、説得力があって誰にでも当てはまることだと思う。
自分の設計した家に住みたいと思わない、なんてぶっちゃける建築家が一体どこにいるのか⁉
とは言え、クライアントの絶対譲れないことだけは要求の150%以上、当人が思い至らない部分まで
完璧に応えるというスタンスで、その点ではプロの想像力、洞察力の深さを思い知らされるし発想が自由だからこそ。

コンクリートの無機質さのせいか教会が多い。
代表作の「光の教会」をそのまま再現して、しかも、展覧会終了後は廃棄する、という。
結構な量のコンクリートを使っているのに!
この教会、本人は無理やり嵌め込まれたガラスを
取っ払いたいらしい。
駄目だと言われたことでも、譲れないことならずっと言い続けたらなんとかなるかもしれない。
実際にそうなったこともあるから、やり方は諦めても目的は諦めるな、我流でがむしゃらだからこそ言えることだな。
そんな彼でも、自然条件にだけは逆らわない。
自然の中にグレーのコンクリートがそびえ立っても違和感ないのはそこを尊重しているから。
諦めが肝心、って言ってたけれど諦めるところと食らいつくところの区別をつけてしょうがないで済ませないのは真似しないと。

一番印象的だったのは真駒内滝野霊園の大仏。
周りを覆い隠して、その斜面に螺髪のようにラベンダーを植える。
そのコメントで仏像が専門ではないがそれでもいいというクライアントの要望を満たすことが出来た。
おかげで寺関係の仕事の依頼が増えた。
仕事の幅を増やすには身を切らないと駄目だ、と。
あれだけの実績を残している人でさえそう言うのだから、凡人はもっとやらないとだな。

もっと色々感じたことはあるけれどもあっという間に記憶から消え失せてしまうのが何とも言えずもどかしい。
たっぷり2時間半、いい時間を過ごせた。