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2023/6/30 三沢厚彦 ANIMALS@千葉市美術館

元は松濤美術館での展覧会で知った彫刻家。

奇抜な色彩だけどバランスが取れていて、かわいらしいというのもあり、名前はチェックするようになっていた。
今回、地元に来るとのことで会社休みを利用して乗り込んだ。元々、都内の美術館と違って混み合うこともない(これで2回目だけど)ので、落ち着いて作品を観ることができた。
よく動物を見ているな、というのが作品を観ていてわかる。曲線、特にネコ科動物の背骨や四足歩行の動物のお腹の垂れ具合、しっぽの曲がり具合がリアルで、思わず触れたくなる。
基本的に大きな作品が多いが、蛙は木彫なのに今飛び跳ねようと浮き上がっている指先に躍動感があって、細かいものも繊細に表現できるのかと作者の技量に驚く。
ワニはとにかく彫って彫って彫りまくってる(表皮)のとギザギザした歯が木を切り出していて後からはめたわけでないのと、重心が低いとはいえ長い尻尾のバランスを取っている造形力がすごい。
重心といえばサメも。ヒレの3点支持で、接点に比べて重い胴体を支えている。
作品の良さを伝えるための学芸員のすごさも見もの。高いところにあってじっくり観られなかったが、トカゲが壁に這いつくばっている展示や、鷹?が空を飛んでいるような展示。今まで気にしたことがなかったけれど、こういった裏方の仕事がよりよいものを創り上げているんだ、と。
最後の展示がキメラ。
四足歩行のものだけでなく、起立したものは5メートル近い作品だが、これだけのものを仕上げるのに作家がどれだけのエネルギーを費やしたか。
作品の持つ力に圧倒されて観ている方が負けそうなのに、これに打ち克つそれ以上のパワーを持ってないといけないのだと伝わってくる。
かわいらしい見た目に癒やされ楽しみつつ、最後に強烈なパンチを打たれたように感じて、出てきた時はややぐったりだった。

これまでの展覧会と違って写真撮影OKの展示があったのは素晴らしい。

入口に展示されていたパンダ。体長2メートルくらいかな。
パンダと反対側で出迎えてくれた小熊。体長1メートルもないくらい。
展示スペースの猫体長(約0.5メートルくらい)。しっぽピーンとなっていて警戒されている感が。右前脚のもっこり具合がリアル。
熊コーナーの3体。中央の熊の体長が3メートルくらい、右が1.5メートルくらいかな。
四足歩行の熊。体長2メートルくらい。お腹のぽっこり具合が撮りたくて2パターン撮影。
接ぎ木してなかったはず。こんな材料手に入れるの大変だよね。
小熊。体長約0.8メートルくらいか。顔だけ見たら羊みたいよね。目がピンク→ゴールド→ターゴイズと強い色遣いなのにバランスが取れている。色彩感覚も優れているんだな。

美術館の入口(ブロンズのライオンは撮り忘れ)や1F(展示室は7&8F)にも作品があった。レトロな建屋にこういう無料鑑賞スペースがあるのもここの美術館のいいところだと思う。

エレベーターホールに展示されていた小熊。


前回観て好きだった鶏と寝っ転がった小熊を観られなかったのは残念だけど、本当に動物園に来たみたいに楽しむことができた。思わず顔がほころんでしまうこともあるくらいで、小さい子供も楽しめる展覧会だと思う。(触らせないようにするのが大変かも)
キメラみたいな奇形の作品を創り始めると好みが分かれてくる(舟越桂がそう)けれど、今後の彼の動向を見守っていきたい。