見出し画像

自創作にかけ算がない理由

 今回は私の創作にかけ算がない理由、について考えます。


 私の創作は一般的にはBLとみなされるものなのですが、BLでよく見かけるカップリングの表記(「A×B」。A・Bにはキャラ名や属性などが入る)はあえてしていません。なぜかというと、私はこのかけ算があまりしっくりこないといいますか…なんとなく違和感を覚えてしまうためです。


 例えば、
 「黒髪真面目男子×彼にぞっこんな幼なじみ」
 というカップリングがあったとします。これを見れば、この2人がどういうカップルなのか、直感的に分かりやすいというメリットがあります。しかし、本来様々な個性を持っているはずの2人が、単純化・記号化されすぎている感が否めません。


 また、「攻め」と「受け」も私はあまりこだわらない方なのですが、この「攻め×受け」の表記も、そこまで明記しなくても…と思ってしまうのです。カップリングにおける性的な関係は避けて通れない問題だとは思うのですが、男役と女役とをきっちり決めないといけないのだろうか?とか、それは役割の押し付けではないか?、そもそもそんなこと作者が決めてしまってよいのか?など、ぐるぐる考えてしまうのです。


 そもそも私の創作のキャラの関係性が、分かりやすく定義するには難しい性質を持っているからかもしれません。

 私の創作のカップル、凛太郎と恵は、かけ算でいうと「凛太郎×恵」になるのですが、凛太郎より恵の方が「攻め」的であるし、アプローチも積極的です(精神的には「タチ」なのです)。一方で凛太郎はAセクシュアル寄りであり、恵に対してはほとんどアプローチがありません。しかし、夜は凛太郎が「攻め」で恵が「受け」です。しかしながら、この2人は次第に性行為の重要度が低くなっていくため、最終的には「攻め」も「受け」も関係なくなります。


 こうして考えてみると、私の創作にかけ算がない理由は、キャラの個性が豊かで関係性も複雑なため、既存の「A×B」の式に表してしまうには単純化しすぎるし、いろいろな情報がこぼれ落ちてしまうからなのかもしれないと思いました。
 (なお、本記事はカップリング表記を否定する趣旨はないということ、予めご了承ください。)

 以上です。それではまた。