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IPOした社長の語る、会社の成長を加速させた大きなメリット

Chatwork株式会社は2000年に創業。2011年にビジネスチャット「Chatwork」をリリースし、2019年に東証マザーズに上場しました。
ビジネスチャット事業にリソースを集中し、先行投資を続け成長することができた背景、上場するまでの準備、上場後の会社の変化等について、代表取締役CEO 山本正喜氏にお話を伺います。聞き手は船井総合研究所の宮井秀卓です。


兄弟で学生起業、ビジネスチャット「Chatwork」が生まれるまで

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宮井:Chatworkは山本社長がお兄様と起業された会社なのですね。
山本氏:大学時代、アメリカ留学していた兄が現地でインターネットの登場に衝撃を受け、これをビジネスにしようと2000年に兄弟で学生起業しました。
兄はアイデアマンでビジネスが好き、私は情報系大学の学生でものづくりが好きでしたので、兄がCEO、私がCTOとなり、2004年に法人化しました。
インターネットに関する事業をいくつか行う中で、2011年に新規事業として立ち上げたのがビジネスチャットの「Chatwork」です。これをメイン事業になるまで育て、2018年に私がCEOに就任、2019年に東証マザーズへ上場しました。
従業員数は現在189名(2021年4月末日時点)、オフィスは大阪と東京に置いています。

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宮井:ここ数年でDXの波が来て、昨年は新型コロナの影響で在宅ワークが一気に拡がりました。ビジネスチャットのニーズは高まっているのではないでしょうか?
山本氏:はい、このチャンスを活かそうと当社は今、アクセルを踏んでいる状況です。従業員数もこの1年で1.5倍になりました。
宮井:貴社はコーポレートミッションとして「働くをもっと楽しく、創造的に」と掲げておられますね。どんな思いが込められているのでしょう?
山本氏:私が社長になって真っ先にしたのが、このミッションをつくることでした。私はなぜこの事業をしているのか、どういう会社なら自分の人生を賭けられるのか、と深掘りして出てきた言葉です。
この言葉は私の原体験とも重なります。インターネットの登場に感動し、そこで夢中になって働いて、お客様に喜んでいただいて、お金になる。そのサイクルがとても楽しく創造的だった。その楽しさと喜びを多くの人と分かち合いたいと考えているのです。
そしてこのミッションを実現するために一番効果的な事業として、ビジネスチャット事業があります。
「Chatwork」は、パソコンにソフトをインストールする必要もなく、インターネットブラウザーにアクセスすればすぐ使えて、定額課金で利用できます。
皆さんがプライベートで使っているLINEのように簡単にメッセージがやり取りできます。「Chatwork」はビジネス仕様なので、タスク管理やビデオ会議の機能等が付いており、管理者用の情報管理機能もあります。

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宮井:「Chatwork」の導入企業数は現在30万社超でユーザー数が400万人超、ビジネスチャットの国内利用率No.1だそうですね。その「Chatwork」は、元は社内用に開発したツールだったそうですが、それを外販しようと思われたのはなぜですか?
山本氏:私はこのツールを毎日使ってみて「こんなに便利なコミュニケーションツールは他にない、外販すれば必ず世の中に広まる」と確信しました。
しかし社内会議に提案したところ却下されたのです。そんな時、兄がやっていた動画配信番組でこのツールを紹介してみたら、多くの視聴者から「使いたい!」という声が上がったのです。そして4ヵ月後に外販をスタートしました。
それまでの当社の事業はwebによる集客支援事業とセキュリティソフトの販売代理店事業でしたが、やがて新規事業の「Chatwork」が主力となり急激に伸びていきました。
宮井:上場を目指されたのはいつ頃ですか?
山本氏:2015年、2016年にベンチャーキャピタル(VC)から合計18億円調達して成長に加速がついて上場を目指そうと考えるようになりました。実は私たちは会社設立時に「株式公開しない、他人資本は入れない」と決めていたのです。
しかし「Chatwork」の人気が高まりユーザーが急増したため、資金がなくてはシステムが拡張できない、サービスを維持できない状況になってしまいました。競合が出てきてマーケティング費用も必要になっていました。
外部資本が入るとIPOか売却の二択になるのですが、我々はIPOを選びました。「Chatwork」のお客様は企業なのでセキュリティの安全性や事業継続性といった信頼性が求められます。その意味でもIPOは有効だと考えました。
IPOするためにVCからの資金調達は必須ではないですが、大きな金額が調達できるので、時間をお金で買う、今でないと勝てないと勝負に出るならVCの力を借りるのも選択肢の1つだと思います。ただ一度入れてしまうと戻れない、全力疾走するしかない、という状態にはなります。


IPOするまでの準備とスケジュールとは?

宮井:Chatwork様のIPOまでのスケジュールを図にまとめていただきました。VCから資金調達してから約4年で上場しておられますね。上場前後の営業利益を見ると、上場申請期はマイナスでしたが、直後期は見事に黒字にされています。

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山本氏:新規上場する企業の中には赤字で上場しているところもありますが、株価がつきにくいですね。投資家から「赤字会社」と見られるのはネックですから、今後の成長ストーリーとその根拠をしっかり説明する必要があります。
当社のようなサブスクリプション型ビジネスで急成長する企業の場合は、PER(株価収益率)ではなくPSR(株価売上倍率)で評価されて株価が付くようになってはいますが、黒字が望ましいと思います。
宮井:CFO(最高財務責任者)は外部から募集したのでしょうか?
山本氏:エージェントを介して募集しました。40名ほど面接した結果、適任者にお会いできたので、上場準備が佳境だった2018年に入社してもらいました。もう1人、コーポレート本部長の方にも入っていただきました。こうしてシニアクラスのコーポレートマネージャーが2人揃ったことがIPOで大きなポイントでしたね。
宮井:証券会社と監査法人はどのように選んだのですか?
山本氏:証券会社は候補となる数社に声をかけて、ビューティコンテスト(IPO準備会社が主幹事証券会社を選定するために行うプレゼン)を行いました。そこで当社と事業への理解度、エクイティ・ストーリー(投資家や株主に対して会社の価値を説明する内容)、当社チームとの相性等を比較して主幹事証券会社を決めました。監査法人はVCからの紹介です。
宮井:貴社では従業員のほぼ全員にストックオプションを付与されているのですね。
山本氏:はい、社歴と役職によって付与しています。ストックオプションの設計は難しいです。将来入社する人も含めて考えねばなりませんし、誰にどれだけ付与したかオープンになるので説明できるロジックも必要です。
ストックオプションは人の採用時にも使えます。キャリア採用で前職より年収が下がってしまう方の場合、代わりにストックオプションを付けるという提案ができます。

上場してみてわかったメリット

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