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「これからの男の子たちへ」

太田啓子さんの著書、「これからの男の子たちへ」を読んだ感想を。



もともとこの本は、8歳息子の性教育どないしよ?のヒントになるかな〜くらいの気持ちで読み始めたのだけど、性のことのみならず
「ジェンダーバイアス」「ホモソーシャル」「男性であることの特権」そして「男の子にかけられる呪い」
と、男の子を育てるにあたり、知っておきたいこと、自らの言動を見直すヒントをくれる読み応えのある本だった。


もともと我が家では子育てをする上で、性差は関係なく育てることを心がけていて、「男の子だから」野球やサッカー、格闘技を習わせたり、泣くことを咎めたりしないようにしている。
習い事は本人がやりたいならやればいいけど、「男の子は大概やってるから」と本人の意向を無視して無理矢理やらせたいとは思わない。

とは言えそれは「息子だから」そう思えたのであって、私も妊娠中、お腹の子どもが男の子だと知った時は「3歳くらいになったら格闘技でもやらせようかな〜」なんて考えていたのだ。

息子が1歳くらいになって「どうやらかなり慎重派でのんびりした性格だぞ…?」と気付いてから方針転換した。“キャラにないこと”を無理にさせることはないなと思ったから。
活発な男の子だったら、本人に勧めていたかもしれない。


泣くことを咎めないのは、私自身、わーーっ!と泣いて発散することがあるからだ。
自分の気持ちに向き合って感情を吐き出すことはとても大切だし、無理に止めると感情は溜まっていく。それが常態化すれば、自分の感情がわからなくなってしまう。麻痺してしまうのだ。

この本にも男の子は感情を言語化する能力がとてつもなく低いことが指摘されている。
小さい頃から「男らしく」あることを強要され、「弱さ=悪」と教え込まれるから、自分の弱さを外に出せない。向き合うこともないままないことにしてしまう。
男性社会の中で、その価値観はさらに強固になり、弱音を吐く人を負け犬扱いし、心身が限界でも頑張ることを強要され、ストレスから病気になったりアルコールに依存したり妻や子どもに対する暴力となって現れる。

その現象から見ても「男らしさ」という呪いに苦しむ男性も多いのでは?と書かれている。


自分の性についての価値観をフラットにすることは、異性に対してもフラットに接することができるんじゃないだろうか。

これからどんどん世界が広がっていく息子には、性別や年齢や国籍にとらわれずいろんな人と付き合って欲しいし、性的マイノリティや学歴に対しても偏見を持ってほしくない。

自分ではそう思いながら子育てしているつもりでも、じゃあ私たちはどうだろうか。
息子の目から見て、夫と私は対等な関係に見えているだろうか。


息子のジェンダー観については
「家に帰るなりふんぞり返って“メシ 風呂 寝る”じゃ困るな。家事は最低限できておかないと」
くらいに考えていたけど、家事ができても「やりたくないから」「やる必要がないから」「俺の仕事じゃないから」「俺だって仕事で疲れてんだから」「俺の方が稼いでるから」やらない男性は多い。

「出来ない」と「やらない」は雲泥の差だ。
共働きが当たり前の今、そんな男に育っては困る。
ジェンダーバイアスの芽は見つけ次第踏み潰し、懇々と伝えていく必要がある。ただでさえ社会…絵本やテレビ、幼稚園や学校から受ける情報で染められているのだ。家はなるべくフラットでありたい。

フラットであるためには私たち夫婦が息子からどう見えているのかが重要なのだ。
口でいくら説明しても実践が伴わなければ意味がない。

夫のことは夫に任せるとして、私自身が勝手に夫より下になってしまってはいけないのだ。私のジェンダーバイアスが息子に影響してしまわないように。
そんなことを考えさせられました。

あとね〜、そこまで大きい話じゃなくても、何気なく言ってる言葉が子どもの価値観に大きく関わるから気をつけないといけないな。

「○○くんて、モテそうだよね」とか
「☆☆ちゃんて、かわいいよね」とか
褒めてるつもりでも、息子には言わない方がいいな。
そういう“感想”は自分の中に留めておこうと思う。



そんなことを思いながら読み終えた昨日、テレビを見ていたら美容家の方が、仕事と育児の両立に悩むお母さんの相談に答えているのを見た。

「私も家の中のことガーッとやって出てきたんですけど、洗い物とかほったらかしで『それは帰ったらやるから!』と家族に言ってきました」

と仰っていたのだけど、そういうことは家にいる家族に任せた方がいいと思うんだよね…。旦那さんはもちろん、お子さんも大きいなら家族の一員としてやった方が良いと思う。

働きながら家のこともちゃんとやるお母さん、って聞こえはいいけど、その方の息子さんが将来、パートナーに「うちの母親は仕事も家事も育児も全力投球で頑張ってたよ。なんで出来ないの?」とか言い出す可能性もあるわけで。
家事はその場にいる人が自然に動いて片付けていけるのが理想だと思いました。


ああ、性教育についてはまだ何も考えてない…
自分の勉強のためにも性教育に関する本を読んでぼちぼち始めていきたいと思います。


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