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TEAM SHACHIさんとのコラボ ~たった一つのツイートから起きた奇跡~

元祖 鯱もなか本店4代目社長の夫、けんじと申します。
いつか総括したいと思っていた、一つの壮大なストーリーについてここで振り返ってみたいと思います。

アイドルグループ「TEAM SHACHI」さんとの不思議すぎるご縁

TEAM SHACHIさんについてざっと知っていること

TEAM SHACHIさんは名古屋発のラウドポップユニットとして活動しているアイドルグループです。スターダストプロモーション内スターダストプラネットに所属し、ももクロ(ももいろクローバーZ)さんの妹分として紹介されることも多いようです。

TEAM SHACHIオフィシャルサイト

そんなTEAM SHACHIさんは2022年4月にデビュー10周年を迎えました。2012年の4月7日に名古屋城での路上ライブをしてから丸10年。当時はチームしゃちほこの名前で活動をスタートし、改名を含めさまざまな転機もあったと想像しますが、10年続くというのは本当にすごいことだと思います。

今こうやって華やかに活躍されているメンバーさんたちも結成時には中学生だったそうです。そんなことも含めて10周年は大事な意味を持つ節目といえるのでしょう。

TEAM SHACHIさんとのコラボ商品を限定販売!

そんなTEAM SHACHIさんの10周年記念公演が2022年4月9日と10日、名古屋の日本特殊陶業市民会館で開催されました。そしてそのスピンオフとしてポップアップショップ「colors」が出現。こちらは名古屋駅地下街で東急ハンズさんが展開するHANDS GATE SHOPの区画を利用して行われました。

期間は4月5日から11日までの一週間と、10周年記念公演に合わせて行われ、大切な10周年イベントを盛り上げるために絶好の日程です。ちなみに店名のcolorsはTEAM SHACHIさんの人気曲から来ています。

そのcolorsにて、TEAM SHACHIさんと鯱もなかとのコラボ商品が限定販売されることになりました。

なぜこのコラボが実現したのかとよくご質問をいただきます。

SHACHIで地元名古屋を盛り上げるために立ち上がった企画?
・広告代理店に大金を積んで宣伝効果を狙った?
・私が以前からTEAM SHACHIさんの大ファンで熱烈なオファーの結果実現?

いずれも答えはNOです。

このコラボはたった一つのツイートから始まった嘘のような本当の話です。その奇跡の軌跡を綴っていきたいと思います。

きっかけは店舗改装の計画

引き継いだお店を改装してより満足いただける空間へ

元々、明治40年に創業した当店ですが、つい数年前まで廃業寸前の状況でした。3代目の先代は後世に事業を引き継ぐ気がないまま高齢となり、そこへきて世界的パンデミックへ突入。主力だった土産物需要は激減し、このまま存続していく理由も見当たりませんでした。

ですが、当店は戦前から100年以上続く老舗店です。名古屋市内を探してもこれほどの老舗店は数えるほどしかありません。しゃちほこ型のもなかのことを先代は「古くさいから売れない」と言いますが「本当にそうなんだろうか」と疑問を抱く自分がいました。

そこで、先代の娘である妻と話し合いを重ね、私たち夫婦がこの事業を継ぐことを決心。二人とも菓子製造販売業は全くの未経験です。仕事を覚えるために日々がむしゃらに働く日々が始まり、妻は4代目社長へと就任しました。

SNSやWebを活用したオンライン施策に力を入れたことにより、少しずつ認知度が高まったり、マスメディアにも取り上げられたりと、良い変化が続きましたが大きな課題が立ちはだかります。

それは建物の老朽化です。製造から販売まで一貫して行っているこの建物は築50年を超える年代物の鉄筋コンクリートビルなのです。事業を引き継いだ私たちがこれから何十年と続けていくことを考えると、この状態で使い続けることはできません。ですが鉄筋コンクリートの建物はとても頑丈です。改装するにもとても多額の費用がかかってしまいます。

必死の資金調達を開始

それからこの大掛かりな改装を実現するために本格的に動き出しました。この改装をする上で絶対に実現したいことがありました。それがイートインスペースの併設です。

詰めたてのもなかを店内でお召し上がりいただいたり、カフェ感覚で利用できるスペースを作りたいと考えたのです。お店を継ぎ日々営業している中で、ご来店いただくお客さまとのご縁をもっと大切にしたいと思うようになりました。せっかくなら店内で座って食べられる空間があれば、ひと言ふた言でもかわせる機会が増えるはず。

そして、建築設計を専門家に依頼し、補助金や融資制度などの使える制度を徹底的に調べていきました。順調にいけばある程度の資金はまかなえる目処が立ちましたが、大規模工事のため満額にはなかなか届きません。売上を大きく上げていければ利益をためることができますが、感染症拡大の状況によって大きく左右されてしまうため限界があります。

そこで思い立ったのがクラウドファンディングへの挑戦でした。

清水の舞台から飛び降りる気持ちでプロジェクト開始

改装に必要な残りの資金を集めるために私たちはクラウドファンディングのプロジェクトを立ち上げました。それが2022年1月15日のことです。積極的に運用しているTwitterをはじめ、Instagramや公式LINE、Webサイトでの告知も併用。それだけでなくFacebookで知人への周知やLINEで直接のお願いなど、達成に向けて動き始めました。

目標金額は300万円。決して少ない金額ではありません。むしろ気の遠くなるほどに大きな数字です。この金額で設定して公開する瞬間には「本当にいいのだろうか」と心拍数が上がり緊張したのを覚えています。ですがやると決めたからにはやり切るしかない。ならばなりふり構っている場合ではないと腹をくくりました。

初速は順調で、開始2日で20%を超えました。この勢いが続けば10日で100%達成!となるところですが現実はそう甘くありません。すぐに頭打ちになってしまいます。

伸び悩んでもとにかく発信する

しかし、やる!と決めた手前、発想を広げマインドブロックを取り払い、とにかくやり続けるしかありません。ここまでにも支援してくださった方がたくさんいらっしゃるのです。リターンをお届けするのは当然のことですが、達成報告をすることが一番の恩返しだと信じています。

そこで次に何をしたかといえば縄跳び2000回を跳びました。どういうことか理解に苦しまれるかもしれません。これはTwitterで始めた企画でした。注目を集めるため、いいねやRT(リツイート)の数だけ大変なことをする(腕立て伏せ等)のが流行っていました。それに便乗してRTの数の10倍の数だけ縄跳びをするとツイートしてみたのです。ありがたいことに200RTが集まり2000回の縄跳びをすることになりました。

この様子をYoutubeで公開し、最後にご支援をお願いするという強引な試みでしたが、とても沢山の方からご支援やTwitter上での応援のメッセージをいただき、プロジェクトも拡散していきました。

こうやって、様々な取り組みや発信を続け、メディアに取り上げられたりした効果もあり着実に伸びてはいったものの、プロジェクト終了まであと4日の2月24日、集まった金額は210万円、達成率は70%でした。

残り90万円は本当に大きな壁で、SNSで必死に懇願しても大きく動くことはありませんでした。リターンが比較的少額で数千円のお菓子が中心のため、数名のご支援があっても全体へのインパクトが少ない、そのようなツイートも目にしました。

正直もう無理か、万策つきたかと諦めそうになる気持ちもありながらも、目標は1点!100%のみです。ここまで支援してくださった方の想いに答えたい!それがミッションだ!絶対に達成する!そう思い込むしかありませんでした。

それから取った行動は怒涛の大量ツイートでした。Twitterの特徴である拡散力によってTwitterドリームはきっと起きる。そう信じてツイートを続けていきました。

たった一言から巻き起こったTwitterドリーム

始まりは一つのツイート

それは終了まであと3日となった2月24日のこと。とある方がこんなメッセージをつけて、固定ツイートを引用RTしてくださいました。

「SHACHIの出番だとおもうんだ」

この一言から状況が一気に好転していきました。最初に反応した当店のアカウントにTEAM SHACHIさんの公式アカウントが被せてくださったのです。さりげない一言二言のやりとりだったのですが、巨大な影響力のある公式さんが認識していただいたことにより、一気に多くの方の目に触れることになりました。

そこから何が起こっているのかわからない程の急展開がはじまりました。ご支援があると通知が入るメールボックスは気づけば未読の山。プロジェクト管理画面の数字も信じられない増え方をしています。飛び跳ねるほどの思いでこの状況に向き合いながらも仕事は平常稼働しています。その日の業務を終え、夕食を食べている最中にメッセージに気づきました。

「達成おめでとうございます!」

なんと、その日のうちに目標100%を達成することができたのです!嘘のような本当の話が実現したその瞬間は、飛び跳ねても飛び跳ねきれないほど、表現するのも難しいほどに心の底から感激したことをはっきり覚えています。

そして終了までの残り2日間も伸び続け、結果はなんと3,608,870円もの金額を676名の方からご支援いただき目標の120%と奇跡のような結果で終えることができました。

奇跡の連鎖

ですが、これはまだ序章にすぎませんでした。この奇跡が更なるもう一つの奇跡へとつながっていくことになったのです。

それが、TEAM SHACHIさんとのコラボ商品「手作りTEAM鯱もなか マジ感謝版」です。これは当店がもともと販売している「手作り鯱もなか」のパッケージをTEAM SHACHIさん仕様に変更した限定商品です。このコラボ商品を上述したポップアップショップ「colors」で販売することが決まったのです。

この商品を選んだ理由としては、コラボするのであれば当店の看板商品「鯱もなか」が絶対にいい。しかし箱を1からデザインして印刷となると期限に間に合わない。そこで、内箱に筒状のスリーブを被せるタイプのパッケージの「手作り鯱もなか」を使用することになったのです。内箱は元々のものを活かし、スリーブデザインのみを変更するだけなら納期が間に合いそうでした。もなかの皮と餡がわかれており、日持ちがすることも決定要因の一つです。

そして、かなりの急ピッチの中で制作を進め、colorsオープンの初日を迎えます。様子が気になってしまい納品時以外にも何度も現地に足を運びました。関係者の方がいれば挨拶をしたり、レジの店員さんにも何度も話しかけたので、顔を覚えられたと思います。よく売れていたので毎日補充のため納品に駆けつけていました。

Twitterをチェックしていると、なんとメンバーさんが現地に訪れているようで、このマジ感謝版のパッケージにサインをしてくださいました。サインが一つずつ増えていき4名分が揃った時には感激しました。元々はファンの方のたった一つのツイートがTEAM SHACHIメンバーさん全員に届き、ここにサインとして形に記してくださったんだと。まだYouTubeでしか見たことのないメンバーさんたちに心からマジ感謝の念が溢れてきました。

そして4月9日のことです。気づくとcolors発注担当の方から沢山の着信が残っていました。何事かと折り返すと「欠品しそうです。いつ持ってきてくれるんですか」とのことでした。「いや、別の配達中だし、でき次第持っていきます」と答えて電話を切るも、数分したら電話がかかってきます。「まだですか」「まだですか」とプレッシャーをかけられます。

「いやいやまだできてないし!」と若干のとまどいを抑えながらも、どんどん作り、できた分から納品に走りました。10周年記念公演の初日です。全国からくるタフ民さん(TEAM SHACHIさんのファンの方の総称)にどんどんお買い上げいただいていたのです。

納めてもすぐに電話がかかってきて「欠品しそうです」「まだですか」の繰り返しでかなり疲れましたが、それも夕方で強制終了です。

感動の10周年記念公演

なぜならチケットを買って楽しみにしていた10周年記念公演に向かう時間がやってきたからです。大急ぎで最終便の納品を済ませ、着替えたら猛ダッシュで金山にある日本特殊陶業市民会館に向かいます。

開演ギリギリに到着して着席したらすぐにステージが始まります。YouTubeとサブスク配信サービスで予習してきた珠玉の楽曲たちとパフォーマンスが心を打ちます。1月15日から死に物狂いで取り組んできたクラウドファンディングが本当の意味で一つの完結、まるで第二章がクライマックスを迎えていくような気持ちでした。

ここまでの間にタフ民さんとも沢山の交流が生まれました。Twitter上のやり取りはもちろん、本店にご来店くださったり、TEAM SHACHIさんのグッズをディスプレイ用にとプレゼントしてくださる方もいらっしゃいました。

そんなタフ民さんたちとこのライブの場も共有しているわけですが、お一人お一人それぞれ違う色の見え方の中で、この10周年公演を共有していると思うと胸が熱くなります。

後にわかったことですが、会社でお取引している士業の先生がなんとタフ民さんだったのです。それだけ色々な人を魅了してグッと胸を熱くさせる存在なんだと、この公演に行ったことでようやくわかりました。

そしてライブ終了後には、関係者ということで、なんと直接メンバーさんたちと会うことができました。一緒に見に行った妻と息子の3人と一緒に記念写真を撮らせていただきました。大切な家族の出来事としても一生の思い出になりました。

そんな感動の一日を終えグッスリ眠ったら翌日も怒涛の日々が始まります。「欠品しそうです」「まだですか」「まだですか」を何度か繰り返していたら、ついにその時がやってきました。

そう、完売です。

予定数より多めに生産した分も含め、全て完売することができました。最後の納品の時には、私がダンボールから取り出して陳列しようとする手からも「これいいですか?」と売れていき、その勢いはものすごいものでした。商売人としてこれ以上の幸せはありません。本当に嬉しかったです。

そして歴史の1ページへ

当店の近くには「二葉亭四迷幼年時代宅跡」があり、そこには説明書きが飾られています。歴史的価値がある場所のため、後世に語り継がれていく必要があるのでしょう。

同じように当店115年の中でもTEAM SHACHIさんとのこの一件は歴史に刻まれる大切な出来事だったと捉えています。お店の一画はまるで「二葉亭四迷幼年時代宅跡」のようにTEAM SHACHIさんのコーナーになりました。

今はまだ生々しく綴ることができるこの記憶も、いつかは伝説となっていくのかもしれません。だからこそ、この場所で巻き起こった嘘のような本当の話を忘れないように、綺麗に綺麗に飾っておこうと、そう考えたのです。

TEAM SHACHIさん、タフ民さん、関係者の皆さま、この度はこんな奇跡をずっと一緒に共有していただき、本当にありがとうございました!

心からマジ感謝申し上げます!

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