見出し画像

なんじ

すごく好きな本だから読んでnoteに書いてほしいと、
素敵な友人からプレゼントしてもらった本の感想文。

汝、星のごとく


愛は呪いのようなものだ

自分のなかにある「愛」は、きれいなものだった。
愛情とか、愛してるとか、愛おしいとか、そんな感じだった。

どうしようもない両親、
どうしようもない恋人、
どうしようもない仕事仲間。

物語に出てくる愛は、
そんなどうしようもない人から決して離れさせない、
呪いのようなものだった。

愛は、正しさを誤らせるものであり、
その誤りは正しさを超えるものだった。

愛は、複雑で、色んな形があって、正しさでは図れなくて、
それ故に、他人から批判や罵声を浴びることがあって、

でも、自分の大切な人たちが分かっていれば、
それで十分なものなのだと思えた。

優しさは弱さになる

どうしようもない両親、
どうしようもない恋人、
どうしようもない仕事仲間。

切るべきものを切れないことは、
優しさではなく弱さであり、

その弱さが、人生を難しくしてしまうこと、
誰かを傷つけてしまうこともあると知った。

でも、その弱さが優しさになることもあるだろうし、

きっと、その弱さに、
どうしようもない誰かが救われていることも事実で、

弱いということは、
弱さを背負って生きていく強さがあるということでもある気がした。

いざってときに、決断できる覚悟

いざってときには、闘える。
いざってときには、失う覚悟がある。
いざってときには、好きなことをする。
いざってときには、自分の足で立てる、飛び立てる。

いざってときには、誰に罵られようが切り捨てる。
いざってときには、誰に憎まれようが手に入れる。

いざってときに、決断できる覚悟がないと、
人生は複雑になると知った。

こんな風に、決断できれば、
愛に呪われることも、優しさが弱さになることも、ないのかもしれない。

でも、こんな風に、決断できない主人公たちは、
たしかに、どんどん人生が複雑になっていった。
背負わなくてもいいようなことも全て背負って生きていた。

でも、決断する覚悟を持つ人と同じくらい、
決断できないことを背負う人も、強いと感じた。

・・・

沢山のどうしようもないことや人と向き合い、
しなくてもいい遠回りをして、
背負わなくていいものを背負って、
愛に呪われ、自分の弱さに苦しみながら、
弱いまま強くあろうと、もがき続ける。

白でも黒でもない世界で、
答えがひとつではない世界で、
愛する男のために人生を正しく誤る。

きれいじゃなくて、分かりずらくて、難しくて、もやもやする、
言葉が響いて、心が揺れる、そんな本でした。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?