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書道クラブに参加する

今日の午前、私は近くの地域センターで書道クラブの活動に参加した。

私は子どもの頃、習字をならっていた。先生のお宅に10人ほどの子どもが集まり、先生の指導を受けていた。私たちは畳の部屋の長机に正座して書道を行っていた。それはまるで寺子屋のような教室だった。
毎週土曜日の5時から7時で、夏は明るい時間だが、冬になると真っ暗の夜道を帰っていた。しかし、その時間はとても楽しく、私は約4年間先生のお宅に通い続けた。

2020年2月2日にイベントを開催することになり、私はその看板を筆で書くことにした。しかし、なかなかうまく書けなかった。ただそのとき、筆で書くのは楽しいと思ったのだ。おそらく、そのときに私は「筆で字を書きたい」と思いはじめたのだった。
それから通える書道教室がないだろうかと探し、家から一番近い場所の教室に行って体験入学した。土曜の午後だった。生徒たちは各々が机に座って書き、書き終えたものを先生に見せて指導を受けていた。
コロナ禍だったせいもあるのだろうが、あまり活気がなかった。
また別の教室にも行ってみた。そこは指導者の自宅の一室だった。小学生と一緒に練習に参加した。時刻は夜で、その場所は書道をするのにはちょっと落ち着かない気がした。そういうことが教わる条件になるとは自分でも気づいていなかった。

それからしばらく書道のことは忘れていた。
ある日、図書館に行くと書道クラブの貼り紙があった。すぐに電話をすると「どうぞいらしてください」というお返事。そして、今日がその活動日だったので、私は出かけて行った。
参加者は6人ほどだった。先生はホワイトボードに貼り出した10点以上のお手本の中から好きなものを選んで、という。
私は一番文字数が少ない4文字のお手本にした。
参加する人たちは自分の好きなお手本を選んで練習していた。
私も、2時間ゆっくりと書の時間を楽しんだ。気持ちのよい時間だった。

その場所にいる人たちの真剣な姿勢と、気心の知れた者同士の関係性、指導者と習う側の信頼関係が感じられた。
ここなら落ち着いて書けそうだ、と私は思った。
わずかな時間でも、心を集中できる時間を持てることがうれしい。
私は新しい習い事を始めることに決めた。
帰り道の足取りは軽く、新緑がまぶしかった。


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