見出し画像

子どもの学生期を思う母の願い

母になった私に、小学校の先生から連絡がきた。
「お子さんが学習障害の疑いがあるので検査を受けてください」
たしかに勉強はできないけど、何の問題も感じられなかった。でも、本人が苦しいこともあるのかもしれない。私には何もできないので、検査に連れていくことにした。

知らないところへ連れていかれ、知らない大人にあれこれ聞かれ、
もう5年生だったうちの子は、何をされるのかと疑心暗鬼になり、ちょっと反抗的だった。いろいろあったけど、結局ボーダーラインとのことで、そのままとなっていた。
学校の先生は何が問題だと思ったのだろう? 
勉強ができない、ということだったのか?
中学校はバスケットにあけくれ、高校受験をどう乗り切ればいいかと考えたのは私のほうだった。彼の個性のままで、彼のやりたいことをやっていってほしい、それが私の願いだった。

東京都内に150以上の高校があることがわかり、私は仰天した。
私の高校受験の頃は県立高校が学区に4校しかなく、自分で選ばすとも受験する高校はおのずと決まっていた。だから彼の成績で行ける学校の中から選べばいいと簡単に思っていたが、それも山ほどあることがわかり、私は半年前から彼が彼らしく通えそうな学校を探しはじめた。
彼と一緒に学校見学へ行き、相談して1校にしぼって受験した。すると、彼はクラスで一番早く高校合格が決まったのだった。

これは「学習障害かもしれない」と言われたから起こったことなのか?
彼にはほかの要素がたくさんある。勉学以外のよい点がたくさんある。
それをわかってくれたのか?
高校3年になった彼は進路を決めずに年を越そうとしていた。
「先生が就職は大学行くより難しいって」
ふむふむ、それは一理ある。
で、どうすんの? 私は野放しにしていた。

お正月、教育者である親戚から「高校3年のこの時期に何も決まってないってどういうこと?」と一喝され、彼は急に大学受験を思い立った。
じゃあー一浪してがんばるってことだね、そう覚悟を決めた母だった。
彼は幼馴染に勧められた大学を試しに受けてみることにした。
たった1校だけである。それは願書受付締切1週間前だった。

2月のある日、「合格した」との知らせ。
えーーー、家族全員が大騒ぎ!
ごめん、誰も期待していなかった(笑)。
そんなに少子化なのか、と私は思ってしまった。(ごめんごめん)
そして4年間、片道1時間半の通学を経て、無事に卒業。
いまでは独り暮らしをしていて連絡もよこさないけど、
元気でいてくれればいい、ただそう思う母なのでした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?