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2022年上半期ベストアルバム #aoty2022

暑すぎて半分溶けている皆々さま今日もお疲れさまです。錯覚してしまうけどお盆休みはまだまだ先なので耐えましょう。我が家に毎年来ているツバメたちもこの異常気象にパニクってます。早く巣立て。

さて、毎月聴いたアルバムを書く備忘録記事を意気揚々と始めるもなんと2月で早々に終わらせてしまいましたのでさすがにそろそろ書いときます。2022年、上半期ベストアルバム~!!(いえーい)

とは言ってもまあ2月で失速するだけあってこの半年は新譜聴くモードから完全にかけ離れている時期が多く、Spotifyでリリース見てハート押してるのにまだ聴いてないのが20枚ほどある状況。なのでひねり出して今回は何とか10枚にしました。完全な主観。ではどうぞ(どうも)

10. Soccer Mommy - Sometimes, Forever

リリースほやほやのサッカーマミー。またまた違う角度から攻めてきた3枚目のアルバム。鬱屈としたインディーロックと清々しいポップネスが同時に体感できて最高です。
冒頭2曲がハイライトになりそうなくらい気持ちいいポップソングなのに3曲目で雰囲気をひっくり返すので一気に引き込まれます。結果的に平均するとトーンは暗めなんだけど彼女のアンニュイな声と雰囲気、シューゲイズみある音像がそうめんとミョウガくらい相性がいいです。暑いので。


9. 中村佳穂 - NIA

元気になりたきゃこのアルバムかけようって思うくらいにはパワーがある作品です。中村佳穂の名を轟かせた前作「AINOU」から地続きな印象を受ける今作も表面的な音の楽しさとその裏で繰り広げられる探求野心がパッケージングされている。
軽やかさと多幸感と若干のやり過ぎ感溢れる冒頭3曲は広角上がりっぱなし。ただ後半の少し内省的でゆったりしたムードもあり作品としてまとまりもあったり。また、「アイミル」がもう好きすぎるんだけどこの曲含めかなり強度の高いキラー曲が各所に散りばめられている一方、voice memoというタイトル曲が2つあったり、ライトな曲たちが間を埋めていてめちゃくちゃな人って印象だけどとてもバランスがとれている。これらは適当ではなくデザインされてんだろうなと思うと少し怖さを感じますよね。ホラー、夏だけに。

「アイミル」の演奏動画、笑い声さえ音楽になるというコメント。まさに。


8. caroline - caroline

僕の苦手分野であるポストロックのバンドながらそのカテゴライズやシーンからは明らかに毛色が違う彼ら。フォークやジャズ、アンビエント的なアプローチ、そして9位中村佳穂とはまた異なる前衛的な即興音楽は終始掴み所がない。ドカーンと音の渦に巻き込まれたかと思えばスッとシンプルなスネアとベースラインだけになり暗闇に放り投げられた気持ちになる。曲間の空白ですら息を呑んでしまうくらいの緊張感も。
時々気持ちよくなりそうでそこまで行かないという痒いとこが痒いままみたいな感覚になる。良い意味でも悪い意味でもなく。蚊取り線香炊こうか。


7. Pinegrove - 11:11

これがエモだろ!!!と声を上げたいパイングローブの通算5枚目。エモさが沁沁でそこに温もりもあるのでエモの体内循環がめっちゃいい。は?
カントリーとエモロックの中間と言われてる彼らだけど今回はカントリー色がより一層強くなっている。それが個人的にすごい刺さりました。
なんて言ってもメロディーが繊細で綺麗で聴き心地が抜群なのでふとした瞬間に気軽にかけやすいアルバムですね。


6. 優河 - 言葉のない夜に

窓の外からやわらかな夜が
微笑みを抱いてあの子を照らすの

やわらかな夜

初めて聞いたとき1曲目、この冒頭の歌いだしでぐーーっと引き込まれた。とんでない引力を持ってますよこの作品。この後上位に出てきますが(ネタバレ)、ビッグシーフとも引けをとらないクオリティーのインディーフォークになってます。これはサポートというよりはもう共作としての立ち位置である「魔法バンド」の功績もありますよね。この組み合わせはすごい相乗効果。
まさに言葉のない夜によく聴いていました。微睡みの中、過去の言葉を必死に拾い集めてるのにまたどこかにすり抜けていくあの感覚。そしてまた夜明けが来ます。


5. 宇多田ヒカル - BADモード

気怠い佇まいのヒカル兄貴のジャケットとは正反対の狂気すら感じるこの作品が纏っているムードには聴くたびに圧倒される。
既発曲が大半を占めるのにも関わらずリニアに展開が続くよう感じさせられる構成は圧巻だしサウンドデザインは世界基準で見てもトップオブトップですよね。この音数で宇宙的な広がりがあるの何て説明すればいいか分かりません。

表題曲「BADモード」中盤のアンビエントモードからの展開。鬼でしょ。

4. ステレオガール - Spirit & Opportunity

この位置に入れてしまうくらい大好きなステレオガール!!!手放しで褒めてるんじゃなく普通にこのアルバムめちゃくちゃカッコいい。
まず、この作品を機に彼女らを知ったので過去作はこの後に聴いたんだけどこの作品で飛躍的にスケールアップした感じがある。より洗練されたバンドアンサンブル、音がずっと、全部、片時もカッコいいのよ。
マッドチェスターな踊れるギターロック。ほんと多くの人に届いて欲しいバンドなので是非。


3. Big Thief - Dragon New Warm Mountain I Believe in You

全20曲、1時間20分に渡る感動の超大作、アルバムらしいアルバム。白い鉛筆書きの簡素なジャケットとは異なり様々なジャンル、サウンドアプローチの曲達が色鮮やかに並ぶ。
リリース前の先行曲からすでに高い評判だった今作。そんなこともあり聴く前のハードルは上がりっぱなしだったんだけどとてつもない快作です。拍手。現実はどうしようもなかったけど僕の春を彩ってくれたアルバムでした。
先日のグラストンベリーの「Change」が好演だったので是非。


2. Rex Orange County - Who Cares?

ビックシーフから一変、11曲35分のコンパクトな軽快なポップアルバムは完全に僕の心を掴みました。
1曲目「KEEP IT UP」の一音目から紡がれるストリングスはアルバム全体に渡って効果的に使われており、今作の大きな特徴となっている。ヒップホップやR&B由来の低音を効かせたビートが強調されながらもストリングスやピアノの綺麗な旋律と絡み合う「7AM」はめちゃくちゃお気に入りです。休日早起きして聴きたい。
朝聴きたくなるアルバムに悪い奴はいねぇ。財布を落としても、携帯を落っことしても、犬に全然相手にされなくても大丈夫。どうせWho cares?でしょ?


1. 羊文学 - our hope

ダントツです。年間ベストアルバム最有力です。
前作「POWERS」から1年半満たないスパンでこんなモンスターアルバム作っちゃうんだからノリに乗ってるとしか思えない。エグいペースで名曲を書いてますよ。さらに鰻登りとはこういうことか、というくらいすごいスピードで名実を拡大している。

既にリリースされていてシングルとしての強度を備えた「光るとき」「ラッキー」「マヨイガ」がアルバムの各パートに振られているんだけどそれらすら馴染んで均されるくらい全曲もれなく良い。
リバーブが強くかかったギターのアルペジオにコーラスが入ってくるザ・ 羊文学のイントロな冒頭曲「hopi」でスリーピースながら壮大で神聖な世界観を提示し、続くキラーナンバー「光るとき」で間髪いれず今度はその世界を一気に突き抜けさせこれまでの作品とは異なる気配を感じる。

アルバムの方向性を決めたという「パーティーはすぐそこ」はこれまでにないくらいポップな曲にしようと思って作ったらしい。根底に羊文学がいるのでハチャメチャしては無いけどこの開けた感じが今作に感じる風通しの良さに繋がっている。
特に9曲目「ワンダー」から繋がる最後の4曲が曲順含めめちゃくちゃ好き。シンセサイザーを全面に押し出した完全無欠の名曲「OOPARTS」がデカすぎるんだけど続く「マヨイガ」が相乗効果でこれまでに聴いた何万倍にも良くなってる。曲順って大事。そしてラストナンバー「予感」はギターとの弾き語りで始まるも最後はシューゲイズな演奏で締めくくられる。

明らかに文章量が違いすぎる。そんだけ好きなんですよこのアルバムが。軸はブレずに色んなものを吸収してそれを何倍にもしてアウトプットしていく羊文学、まだこの勢いは止まりそうにないのでこの名盤を大事にしながら期待して次を待ちます。


ということでこちらからは以上です。
10月にはThe 1975だってさ奥さん。今年もまだまだ楽しみだね。

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