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薫風や窓開け放つラブホテルー自句自解ー

薫風や窓開け放つラブホテル              孟春

5月の風が心地よい日だった。久しぶりに散歩をした。川原の公園を歩いているとつつじがきれいである。ツクシはすっかりスギナに変わり、茎の長いハルシオンが野原のタワーマンションかのようにやけに目立って風に揺れている。シロツメクサの首飾りの作り方も子供の頃に教わったがもはや忘れてしまった。

良い句が浮かばないかと、川原の土手の向こうに目をやると、一軒のラブホテルに目が留まった。通路の窓であると思う。西向きの小さな窓が1つ開け放たれていた。私は大変のどかな気持ちになった。平日の午後、お客さんもまだ少ないだろう。今日の風はさらっとしていて換気するには持って来いである。いつもは締め切っているであろうホテルの窓が、今日のそよ風に誘われて開け放たれている。

ラブホテルという世の中でいうとちょっとウェットな存在が、さらっとした5月の心地よいそよ風とつながっている。そんなおかしみを何とか一句にしたいと思って詠んだのがタイトルの句である。

その日に詠んだ別の俳句だが

一億のタワマンなんぞ春紫苑
白躑躅どこかの空は銃弾(たま)飛んで
主なき空き家の軒のチューリップ

孟春

孟春は私の俳号、俳句を詠む時の名前である。
梅月よりキャリアの長い名前だ。

他に奥宮麻母留(ネトウヨ陰謀論者時代)梅月(現ペンネーム)カリュウ(歌詠む時の号)と使い分けたいと思っている。
正岡子規にあやかりたいのである。

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