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雑感2 「特技はなんですか?」って聞かれるのが一番困る

1.困る質問

 人と仲を深めていく過程で必ずと言っていいほど聞かれるのが、「特技はなんですか?」「特技とかあります?」という類の質問である。まず「ご趣味は?」というジャブが飛んできて、そこで詰まってガードが上がったところに「特技は?」というボディブローが刺さる。このコンボを食らった人は数多いはず。僕もこのコンボでKOされ続けてきた。最近は趣味らしい趣味(家庭菜園)を見つけたので、趣味ジャブはガードできるようになったが、特技ボディブローはやはり痛い。特技を聞かれたら返答に窮した結果、ヘラヘラしてきた。

2.特技を聞かれた時の対策

 「特技はなんですか?」と聞かれて、さっと答えられる人はどれくらいいるのだろうか。中高の部活を特技として答えるのも難しい気がする。例えばサッカー部所属だったら、リフティングを特技として言えるかもしれないが、サッカー全体を特技というのは中々ハードルが高い。それこそ全国大会出場校クラスじゃないと「サッカーが特技です!」と言えなさそうだ。それに、大学生の時ならいざ知らず、高校卒業してから何年もその競技から離れている人がそれを特技とするのも詐欺感がある。
 僕自身は本当に特技がない。履歴書の特技欄など、書くことがなくてめちゃくちゃ困ってきた。料理は好きだし、お菓子作りも一通りできる。ただ、特技といえるほど特別なものではない。本を読むのは人より速いほうだと思う。文庫本なら30分程度で読める。ただ、速読ができる人は1〜2分で読み終わるらしいし、これも特技とは言えなさそう。
 僕みたいな状況に陥る人は多いんじゃないだろうか。人より少しできることはあるけど、特技といえるほど突出したものはない。僕を含めた特技なし族が進むべき道は3つある。
①新たに特技を開拓する。
②特技がないことを聞いてきた奴に相談する。
③特技はないですと言い切る。
一番良いのは、①だと思う。②は人によっては有効かもしれないがめんどくさい奴感がすごい。③が出来たら苦労はしてない。
ということで、特技といえるものを我々は新たに身につけねばならない。

3.身につけやすい特技

 ここでのポイントは、真に特技を身につけたいわけではないということである。「特技はなんですか?」というボディブローをガードするために特技を身につけたいのだ。なので、めちゃくちゃ鍛錬が必要なガチ特技は必要ない。無論、ガチ特技があるに越したことはないが、それはいつか生きていく中で身についたらいいなという淡い希望を抱いておく。というわけで、身につけやすくかつ人に言いやすい特技を考えてみた。
 1つ目は、マッサージ。マッサージは比較的すぐ覚えられる。全身マッサージというと難しいが、手のマッサージや、肩のマッサージは比較的簡単に覚えられる。大事なのは、ツボを覚えることだ。合谷とか後渓とかそんな感じのツボを覚えておくと良い。すぐ相手をマッサージできるので、特技感が増す。その場で披露できるというのも大事なポイントである。だが、このマッサージ、時と場合を考えないとボディタッチしたいキモいセクハラ下心野郎っぽくなるので注意が必要。飲み会とかで女性に「俺の特技マッサージなんだよね」なんて言ってはいけない。
 2つ目は、靴磨き。これは比較的容易だし、自分の身嗜み向上にもつながる。靴磨きは奥深くして、表面をツルツルにする鏡面仕上げとかは中々難しい。道具も揃える必要があるし、特技として言えるかもしれない。だが、これはその場で披露できない。それに、万が一その時履いてる靴がそんなに綺麗に磨けていないと、一気に信用を失う。また、靴磨きが特技と言うことは、良い靴を履いていることが前提条件になってくるので、そこも難しい。高級靴を履いた場合、必然的にスーツも高級なものや拘ったものを着ないといけなくなってくるので、コストがかかってくる。それが出来る人にはおすすめの特技かもしれない。
 3つ目は、アイロンがけ。服の形や素材によってかけ方がすこし違うので、丁寧にかけられると良い。ただ、すこし地味な特技ではある。そう言う時はエクストリームアイロニングの話をして誤魔化そう。エクストリームアイロニングとは、岩の上や雪山など極限状態でアイロンがけをする競技である。完全にイカれた競技だが、これを見るのも好きですとか言っとけばガチ感がでる。これも靴磨きと一緒で、その時着ている服がシワだらけだと信用を失うので注意。
 あとは、早起きとか、完璧なパラパラ炒飯作りとか、スーパーで食材の目利きができるとかが安牌な感じがする。

4.ていうか特技を聞くな

 なぜか現代日本では、全員なにかしらの趣味と特技を持っている前提で話が進んでいく。こちとら生きることで精一杯だというのに。本当は、「特技は?」なんて質問がおかしいのだ。特技なんてなくても、挨拶とか人として最低限のことができればそれでいいではないか。おそらく、特技から人となりが分かると質問者は思い込んでいるのだろう。そんなものは幻想である。だが、質問は質問なので、なにかしら答えないと角が立つ。なので、上述したそれっぽい特技を返答するのが無難である。
 今は仕方ない。でもこれからは、誰かに特技を聞くのはもうやめよう。きっとみんな困っている。やめ時を見失っているだけなのだ。誰かがここでNOを突きつけないといけない。スキルハラスメントはダメ、絶対。

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