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プラスチック問題を地球1個で考えると?:その2

世界のプラスチック廃棄物:年間フロー

先ずは、世界のプラスチック廃棄物の全体像を見てみよう。このスライドは、廃棄物資源循環学会の関西支部セミナー京大のシンポジウム、これなどでつかったもの。文章としては、プラスチックの資源循環に向けたグリーンケミストリーの要素技術の第4章 国際的なプラスチック管理の最新動向執筆時に考えたもの。データは日々更新されおり諸説あるものの、これが一つの国際スタンダードの世界のプラスチック年間フローデータ。

概要:1年間のプラスチック製造量は3.8億トン、東京スカイツリー約10,600個分。現在使用中のプラスチックは約25億トン。一般廃棄物は1年間で21億トン(1時間あたり東京ドームの1/6が埋まるイメージ)排出されるうち、プラスチック廃棄物はその14.3%、約3億トンを占める。プラスチック廃棄物を種類別にみると、レジ袋は16%、ペットボトルは4%、その他が80%。処分別にみるとリサイクルはたったの9%、焼却処分・エネルギー回収は12%、その他79%は埋立処分、と言うのがざっくりした世界の状況です。

では、プラスチック生産によってどれくらいの二酸化炭素が排出されているのだろうか?これも色々な推計・計算・データがあるけども、この報告書の計算式1MTのプラスチック生産によって1.89MTの二酸化炭素が発生している数値に、上の図の年間プラスチック製造量の3.8億トンと推計してみると、年間の二酸化炭素発生量は約7.2億トンとなる。世界の二酸化炭素排出量が約360億トンなので、プラスチック生産から排出される二酸化炭素は全世界の約1.1%。パーセントを見ると小さいと印象を受けますが、この数値は国別二酸化炭素排出量第12位あたりのオーストラリアと同じくらいなんです。そう考えると結構な量の二酸化炭素が排出されていると思いませんか?

ここからは、世界のプラスチックフローの詳細を見てみましょう。先ずはプラスチック製品製造段階を考えてみよう。プラスチック製造量3.8億トンのうち、リサイクル原料は0.27億トン、約7%。残り約93%は天然資源、つまり石油由来。ちなみにプラスチック製造量は石油全体の約3%程度占めています。たかが3%、されど3%。ここをどのように減らしていくか、と言うのも課題です。

私たちが今使っているプラスチックの量は25億トン。ちなみに地球上約75億人が今使っている全資源量は約800億トン。という事は重量ベースではプラスチックは約3%。意外に少ないと思うかもしれませんが、プラスチックの重量は圧倒的に軽いという特性を忘れないでください。ここで矢印が一つ出ていることに注目。マイクロ繊維が約5万トンほど環境中に流れ出しているという事。マイクロ繊維の詳細は色々とウェブサイトがあるのでそちらを見てもらいたいが、量的にはわずか0.02%、でもそれは無視することのできない数値です。別な言い方をすると、いわゆる海洋ごみ問題と海洋中のマイクロプラスチック問題に直結するマイクロ繊維が、主に洗濯時に直接流れ出しているという事です。ここの詳細な議論は、別の機会に考えたいと思う。明日に続く。

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