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プラスチック問題を地球1個で考えると?:その5

普段の暮らしでプラスチックの使用量は減らせるか?

みなさんはどう思いますか?減らせると思いますか?少なくともレジ袋有料化で、マイバックを持つことが標準となりますので、年間平均約150枚(0.5 g x 150 = 750 g)は減らせますね。でも、先に書きましたが、プラスチック製レジ袋を減らしただけでは量的にもたかが知れています。本題はその他のプラスチック製品を減らすことができるかどうか?これはかなり難しいと思います。例えば、普段お世話になっている食料品用のプラスチック製容器包装。生産者から消費者までの長いサプライチェーンにおいて、内容物の品質保持や期間、輸送効率、内容物の情報伝達など、専用に開発されたプラスチック製容器包装があるからこそ、日本中の隅々まで安全に食品を届けることができます。コンビニのフレッシュな野菜サンドイッチ、日本全国どこでも買えますね。これも専用に開発されたプラスチック包装(と完ぺきなまでの輸送システム)のおかげです。

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では、食料品以外はどうでしょうか?目につくありとあらゆる製品や容器はプラスチック製ですね。もう言うまでもないと思います、プラスチック製品を減らすことは非常に難しいのです。だからこそ、環境省はプラスチック・スマートキャンペーン活動を展開しています。このキャンペーンを一言で言うと“プラスチックとの賢い付き合い方”をみんなで考えて実行しよう、というものです。キャンペーン活動は自ら参加することで楽しめますので、皆さんもぜひご参加を。

ここで海外、特に開発途上国の状況を見てみましょう。開発途上国のプラスチック容器包装の状況は日本と異なります。開発途上国と言っても、低所得国、低位中所得国、上位中所得国と別れますが、人口の割合が一番多い場中所得国の例を考えてみましょう。アジアの例で言うと、カンボジア、インドネシア、ラオス、モンゴル、フィリピン、ベトナムなどが該当します。以下の図も自分の講演用に作成したものです。

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まずはこれらの国の人たちの、ごく平均的な消費行動としては、その日に買うことができる分だけを買う、言い換えると、その日稼いだ分で買うことができるものを買う、というです。この消費行動においては、個包装の食料品やモノが好まれるという傾向があります。つまり、プラスチック製の個包装の役割は重要、という事です。プラスチック製品を減らすことはわかっちゃいるけど、今日買うことができるのは、シャンプー、コーヒー、砂糖と塩、5日分、なので個包装、と言う事です。つまりやめられない、が現状と言うのも多いです。プラスチック製個包装を変えることは、難しいと思います。

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以下の図は、うちのUNEPで作成した使い捨てプラスチックに関する報告書を少々更新したもの。これも昨年の講演で使って、一部を更新したもの。全ては反映しきれていませんが、傾向は見れると思います。一言で言うと、廃棄物管理が苦手な国は、プラスチック製レジ袋を使う事をそもそもやめよう、という事です。意外と思うかもしれませんが、日本よりも進んでいます。こういうと少々語弊があるので言い換えると、日本のアプローチは日本独自の場合が多く、海外のアプローチとは違う土俵の場合が多い、です。でも、繰り返しになりますが、レジ袋削減は全体量からすればたかが知れているので、プラスチック製レジ袋の禁止・有料化の意味を正確に理解して、それを次のサステナビリティアクションにつなげることが重要です。 

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さて、普段の暮らしでプラスチックの使用量は減らせるか?答えは...多少は減らせるが、プラスチック汚染問題そもそもの解決には至らない。
改めて聞きます、プラスチック問題は誰のせいですか?答えは一つしかありません、私たち人間のせいです。

この答えが、私たちが本当に解くべき問題です。この問題はプラスチック廃棄物だけではなく、全ての環境問題に直結します。この問題を解決しない限り、プラスチック廃棄物問題もそうですが、気候変動などの全ての環境問題を解決することはできません。

「私たち人間のせいです」については、別の機会に議論をしたいと思います。乞うご期待!

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