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東大の学費値上げについて

最近この話題を目にする機会が多く、(東大では無いが)国立大学院で学ぶ学生として、そして貧困世帯の学生として思う所を書いてみる。



この値上げ措置に反対する意見も多い。もっとも、賛成、あるいは無関心な層はわざわざ意見を述べないことには注意しなくてはならない。
しかし、反対する人々が新制度のどの点に反対しているのか理解に苦しむ。
何故なら新制度によって、貧困世帯の学生はむしろ恩恵を受けるからだ。

新制度は全学生の授業料を単に一律に引き上げるわけではない。

世帯年収が600万(変更前400万)以下の学生きは授業料全額免除が適用される。また、世帯年収600万以上〜900万以下の世帯についても、個別事情を勘案して一部免除の場合もあるらしい。
全額免除の基準年収が200万も引き上がることにより、全額免除の対象学生は相当数増えるだろう。
したがって、今回の授業料値上げは全体として、貧困世帯が恩恵を受けると思われる。


結局、今回の件について反対意見を発信している人間は大きく4つに分けられるだろう。

1.世帯年収900万以上の学生・家族
2.世帯年収600万〜900万の学生・家族
3.「学費値上げ」のブームを危険視する人達
4.文章をちゃんと読まない人達

1の世帯の大半にとって、年10万の授業料の値上げは許容できる増額だろう。

2の世帯、特に世帯年収が600万を僅かに上回る世帯は、今回の学費値上げの影響をモロに食う可能性がある。しかし、個別事情を勘案した授業料の一部免除制度も踏まえれば、2のグループにとって今回の学費値上げがクリティカルな物とは考えにくい。

3の意見は一理あるが、今回の学費値上げは全額減免の対象の拡大と抱き合わせであり、無条件に学費を上げる流れは直ぐには来ないはずだ。

4は、実際ネットで反対意見を述べている人間の大多数だろう。一次情報に目を通すことの大事さを教えてくれる良い反面教師だ。


貧困世帯の教育格差については今に始まった事ではない。私が痛感しているのは、格差は基本的に広がる方向に変化するということだ。
生物的習性と、社会的習性と科学技術の発達によって、持つ物と持たざる物の格差は広がってゆく。

ペットボトルの中には水と砂が入っている。
ペットボトルを振った直後は泥水のグラデーションが出来上がるが、砂は沈澱していき、水と砂はいずれ分離する。格差の原理はこれに近いと思う。

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