奥州道中 復路2 芦野宿→大田原宿
街道の復路歩きは温故知新。
2年前の真冬の景色と比べたり、立ち寄れなかった場所に寄り道しながら、焦らず急がず、のんびり歩むみちのくからの一人旅。
2023.11.27
1.芦野温泉
芦野温泉。
いい湯でした、大浴場の入って一番手前左側の、ヌルヌルしたお湯が一番良かったです。ポカポカした余韻を残したまま出発。
肌を指す様な空気の中、芦野温泉の裏手から街道までを進みます。
温泉周辺は不動産開発も一緒に行われており、別荘と住宅が混在する不思議な空間でした。
しばらくは何も無い坂道をゆっくり昇っていきます。
何も無いのでいろんな事を考えたり、逆に何も考えなかったり、日常生活では出来ない、贅沢で有意義な時間を過ごす事が出来ました。
2.牧草地帯
牧草ロール。
牛の餌を機械でロール状に巻き、ビニールで包み保存してあります。一つの重量は約300kg、もっと重いと思いましたが、乾いた草ですからね。
道端にある、背丈を超える石碑は、地域に貢献した人の功績を称えるものが多いです。
神社の境内にある、背丈を超える石碑は、戦争関連の慰霊塔が多いです。
背丈を超える石碑を見ると、古いですが、映画2001年宇宙の旅を思い出します。
弁慶の足踏み石。
岩に足跡がある名勝は時々目にしますが、ここの足跡は見事でした。
余笹川を渡る手前の電柱に、平成10年豪雨の最高水位が示されてました。
どうやったらそこまで水位が上昇してくるのか、想像がつきません。
3.富士見峠
那須の御用邸が近いので、お立ち寄りになられたのでしょうね。
富士見峠。
ここから富士山まで約250km、残念ながら樹木が生い茂り富士山は拝めませんでした。こんなに遠くから拝めたら感動しますね。
街道を歩いた中で一番遠くから富士山を拝めたのは、日光道中の茨城県古河市。
富士山までの距離は約150km、早朝に利根川を渡っている最中、振り返ったら真正面に見えました↓
甲州道中の富士山は、下諏訪に向かって歩くと、甲府盆地に入り左手に山頂付近が顔を出し始め、盆地を抜けるあたりから、左手後方に半分くらいの姿が見え始めてきます。
その後、忘れた頃にふり返ると、静かにじ〜っと見護ってくださってます。天気が良く空気が澄んでいると、諏訪湖からも拝めるそうですが、私が歩いた時は拝めませんでした。
東海道の富士山は、様々な場所から拝めますが、何と言っても薩埵峠。山桜が咲く時期に拝めた瞬間に、私の"死ぬ前にもう一度眺めたい景色"第1号にノミネートされました。
センダングサ。
歩道に沢山生えている街道歩きの天敵。避けているつもりでも、ちょっと気を抜くとひっつきます。
柿は様々な形があり、種類が沢山ありすぎて覚えられません。
私が唯一覚えているのが富有柿。
中山道を気温38℃の中、朦朧と歩いていた際に、富有柿発祥の地の岐阜県瑞穂市を通過しました。
4.越堀宿
結構なスピードで自動車が駆け抜けていく桝形、運転も楽しそうです。
此の地奥州道中越堀宿桝形の地。
石碑まで作成される桝形は幸せそう、桝形愛に満ち溢れてますね。
前回、往路に歩いた時は、うっすらと雪が残ってました↓
そしてお楽しみは不動堂の横、鳥居の奥の階段を昇り、更に山道を進んだ先の山中に佇む越堀の大杉。
前回、こんな山の奥に本当にあるのか?夫婦でぶつぶつ言いながら歩きながら、目の前に立ちはだかる姿に、息を飲んだ感動を思い出しながら鳥居をくぐります。
越堀の大杉。
手を添えて拝み、しっかりとパワーをいただきました。また来ます!
牛乳タンクローリー。
なかなか目にする事が出来ない乗り物、那須らしい光景ですね。
昭明橋。
綺麗な色になってます、前回渡った時はくたびれた色で工事中でした↓
那珂川を渡り、鍋掛宿に入ります。
5.鍋掛宿
芭蕉の句碑。
ここから南東に約10km付近の大田原市黒羽地区は、松尾芭蕉が最も長く滞在した場所として知られています。
その期間は14日、どこの街道か忘れましたが、芭蕉が2泊して滞在した事が珍しいと、お寺の看板に自慢げに書かれていたので、14日は桁違いなのでしょうね。
鍋掛神社。
こちらも前回歩いた時は雪景色、空の青・雪の白・欄干の赤が美しく映えていたのがいまだに心に残ってます↓
樋沢の大沼。
かつてここには人を食べてしまう大鰻がいたそうです。前回来た時は凍ってました↓
今日は、足跡が残った伝説の岩をよく見ます。
牧草は年三回収穫出来るそうです。今年最後の収穫期ですね。
6.羽田沼
羽田沼。
前回立ち寄れずに後ろ髪を引かれた場所のひとつ。今回は迷わず寄り道します。
不思議なのですが、どうして二回目は余裕があるのでしょうか?
街道歩きの師匠である内田さん、飲むといつも、
「ひぐっちゃん、二回目の街道は、何故か同じ距離を同じ時間で歩いているのに寄り道ができるんですよ〜」
と仰っている事が体感できてます。
ゴルフ場クラブハウス風の建物跡地と、広大な太陽光発電所が隣接してました。どちらもバブルな感じですが、この様な土地の転用もあるのですね。
羽田沼。
白鳥がいなかったらショックを受けるなと、恐る恐る沼を覗くと…
たくさんとは言えませんが、10羽くらいは来てました。
望遠レンズ付きのカメラを構えた方々が4人いましたので大人しく鑑賞。
本当は近くまで行って、手を振ったりして、白鳥たちのリアクションをみたかったです。
羽田沼を目指したので、街道から大幅に逸れましたが、古い建物や遺跡は、どんなところにもあるものですね。
寄り道をすると、史跡は街道沿い以外にも沢山ある事に、改めて気付かされます。
この付近の川は、水草が沢山生えていて、とても綺麗に見えます。
水質や土地の性質が関係しているのか、見ているだけで癒されます。
水草といえば、中山道醒井宿の中心部に流れる地蔵川も水草が美しく、丁度宿泊した部屋の目の前を流れており、夜に川音を聴きに行ったりしてました↓
7.中田原
街道から逸れて歩き、街道と合流する交差点が見えてくると、その付近に石碑があったとか、道路工事していたとか、前回歩いた時の記憶が一瞬にして蘇ります。
身体が街道を覚えているのですね。
栃木県も北部の福島県境は白河ラーメンを出すお店が多いです。
美味しかった!
蛇尾川。
上の画像より上流は、伏流という地下に川が流れている状態で、見た目は水が流れておらず、水無川と呼ばれます。
東北新幹線で那須付近を通過する際に、見る事が出来ます。
8.大田原宿
大田原城跡。
ここも前回立ち寄れなかった場所。想像以上に何も残ってませんでした。
この付近は前回道を間違えて、歩き損ねた区間。初めて歩く道は嬉しいですね。
手水盥の撮影角度を変えると、水面に紅葉が映っていて感動。うまく表現出来ないくらいの美しい眺めでした。
大田原神社。
城がある街の神社、風格があって好きです。
城と神社に対する愛着って、当たり前ですが何度も通う神社の方が強くなります。
そんな理由もあるからか、何も残っていない城跡は沢山ありますが、何も残っていない神社跡って、見かけません。
とは言えこれからの人口減少時代、どうなるかわかりませんね。
陽が暮れてきました、本日はここまで。
バスで西那須野駅に向かいます。
大田原のお酒を飲み比べながら帰路に着きます。
終点の宇都宮宿まで残り約40km、次回は一回で歩くか二回に分けるか、当日の寄り道次第で決めます。
今回の記録は、復路なので脱線しています。正確な内容は往路の記録を参考にしてください↓
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