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アクション作詞術

「術」とは書いたものの、「オレの脳には手術が必要だ」みたいな内容なので、別に「上達の極意」とか「マル得情報」ではありません。

学生の頃、曲を作って売るバイトで小銭を稼いでたんですけど、自分で作りたい曲を量産するわけではなく、「いかに作れるジャンルを増やせるか」を自ら確認する作業でもありました。

そのうち舞台音楽も3つほどやらせてもらったんですが、具体的に「ギリシャ音楽っぽく」「ミュージカルみたいに」とオーダーを受けるようになりました。

資料としてCDを買い込んで聴きまくって、ニュアンスやエッセンスは吸収できたんで、非常に勉強になったんですよね。
ただし、こうなってくると職人になってしまうので、正直楽しいとは思わなかったんです。

で、そのギャップを埋めたのが作詞でした。

歌詞についてはムーンライダーズの鈴木慶一さんの作風が大好きなのですが、離婚したこともないしそんなに人生経験が深くないので、叙景詩的なものが書けないかなと思ってました。

そんな折、当時読んでいたパール兄弟のサエキけんぞうさんのエッセイに興味を持ち、氏の作品をいくつか聴いてるうちに作詞欲が出てきたのです。

特に影響を受けたのは、パール兄弟の2nd『パールトロン』から4th『TOY VOX』でした。

これらに影響を受けて詞を書いてみたんですが、今度は曲を付けるのに激しく苦戦しました。
浮かんでくるメロディと、歌詞の起伏がまるで合わないのです。

僕自身、何か訴えたいメッセージがあるわけではなく、詞から浮かぶイメージを音符に乗せたいわけですが、そのために選んだ言葉がうまくメロディに乗ってくれないのです。

そんな経緯で、いま僕が詞を書く場合は、すべて「曲先」になりました。

メロディをきっちり作って、そこに言葉を合わせていった方が言葉が自然に出たり、逆に2コーラス目で出てきた言葉のイントネーションにメロディを合わせて変化を付ける方が性に合ってたようです。

ここ3年でフルに歌詞を書いたのは、おととし個人としてボカコレに投稿した「日曜はダメよ」と、先日番組から参加した「超凸急」だけです。

「日曜はダメよ」は、1999年に書いた曲を22年後に初音ミクバージョンとしてリメイクしたもので、一部の歌詞を書き換えています。

女性の一人称で詞を書くのは極めてレアですが、それゆえに個人的に思い入れの強かった曲で、環境が整ったらリメイクしたいと考えていました。

職場で初音ミクコラボが決まってからDTM環境を整えて作りました。

「超凸急」は1コーラス分のバックトラックが出来てから、仮メロディを弾きながら「よく働いて食べる よく働いて眠る」という言葉が浮かびました。

実は途中まで、清水藍がミク推し活動のために休みを取って、全国を飛び回るイメージで進めていました。
が、次に「乗る 行く 名古屋駅 立ち喰い 味噌きしめん」のフレーズが出たところで、清水が実家に帰るストーリーに変えました。

それで2コーラス目は斉藤初音の里帰りを思い浮かべ、歌詞に節を合わせながら作りました。

本当に歌を通して送りたいメッセージがないので、もし「なんだこんな歌詞」とお嘆きの貴兄は、拙担当番組のメールフォーム宛てに「作詞は清水さんがちゃんとやってください」とお送りつけてください。

ではごきげんよう。

今回の「AI素材.com」の生成バナーは「和服で文章を書く明治時代の文豪」でした。
誰やねんこれ。

ラジオ局勤務の赤味噌原理主義者。シンセ 、テルミン 、特撮フィギュアなど、先入観たっぷりのバカ丸出しレビューを投下してます。