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正気を保つもの、それはルーティン

去年、ゆるくハマっていたドラマをパタリと見なくなった。
普段からテレビなんて観ないのになぜかハマってよく見ていた。
特定の番組があるわけではなく、気がつけばベッドで、ソファーで、携帯を開いて好きな番組を探して観ていたのに。
毎週決まった曜日が楽しみで家に帰るのが待ち遠しい思いをしたのはいつぶりだったか。

マイブームというやつには一過性のものと永続性のものがあるけど、一過性のものだったのかな。
その考え方で片づけてこの件は終わりにしようとした時、不意に思い出した。

ポケモンGO!にハマっていた時のことを。

日本でリリースされたのは2016年7月22日となっている(Wikipedia調べ)。
一気に人気に火がつき瞬く間に周り中遊び始めたのでなんとなく私もダウンロード。
ジムに上がって誰かと対戦するようなことはせず地味にポケモンたちを捕獲して遊ぶのみだったけど。

とはいえ、レアキャラ出現場所までわざわざ出かけるようなこともせずもっぱら日常の行動範囲内でアプリを開いてはポケモンを探し、ポケストップをくるくるしていた。

その当時、勤めていた会社への通勤路がちょっとした観光地を抜けてゆくこともあって会社最寄り駅に着くとさっと携帯を取り出しもくもくとオフィスに着く7分間ポケモンを捕獲していった。
帰る道すがらも同様だ。
ただただ、往復の道のりを携帯を見つめボールを放り投げて歩く。

これが自宅に着くともうポケモンを探すことはない。
近所への買い物や、自宅最寄駅から家までも携帯を取り出すことはもうしない。
用事があっていつもと違う街まで出かけた時はレアキャラいるかな~と試しにアプリを開くくらい。
かじりついて画面を見ることはなかった。

しばらくそんな通勤路を過ごしその会社を離れる日が来た。
ポケストップまみれの道筋を歩くことはなくなり、同時にポケモンアプリを開かなくなった。
それもぱたりと。
遠出した時もここでしか見つけられないレアキャラ欲しい!という気持ちも一切消え失せてしまった。

私にとってはポケモンを探すことが会社へ行く心の支えだったんだな、と思う。
毎日決まった道のりをくるくるぽーんと毎日同じ動作をすることで仕事する気持ちを作っていくルーティンだったのだと。
会社に行く必要がなくなるとそのルーティンの必要もなくなる。
何かの事象のためのルーティンは目的になる事柄が消滅すると一緒に跡形もなくどこかへ消えてしまった。

今回のドラマの場合はどうだろう。
去年の夏ごろから地味に、でも継続して細く長く続いたこのルーティン。
コロナ下で仕事の形態が、業務が一変した中で「それでも続けなくてはならない」という気持ちを支えていたのだろうか。

年末にひとつ自分の中で決めたことがある。
迷って、悩んだけれど決めたらすっきりした。

決意とともに気持ちを切り替えたらそれまでの状態を保つために支えてくれていたルーティンは消滅する。

低く、でも確かな息遣いで自分を支え温めるルーティンは人によって違うけれどその都度その都度、正気を失いかける自分をようやく立てるところにまで引っ張り上げてくれる。

ポケモン、ドラマ鑑賞、どれも笑っちゃうくらいたわいのないことだけど私の正気を保ってくれていたと思うとありがたい。
またいつか会う日まで。

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