ロナルド・コース「企業・市場・法」

著者はアメリカの経済学者のロナルド・コース。この本に収録されている論文によりノーベル経済学賞を受賞しているとのこと。

そう聞くととても不安であったがそれほど量もないので読んでみた。数式もないので経済学専門外にも入っていけそうな感じ。

短いながら企業の本質について非常に斬新な指摘だと思った。

あらゆるものが手に入る市場を想定すると、あえてある財やサービスを保有しておかなくてもある主体は必要なものを市場で調達することができる。工場や販売員も究極的には外部に委託したり請負させられるので究極的には設備ゼロ、社員ゼロでもモノを作って売るみたいな企業活動はできる。

ではなぜそうならないのか。

「企業を設立することがなぜ有利なのかという主要な理由は価格メカニズムを利用するための費用が存在する」からである。

上で上げた例でも自分の作りたいような設備をもって製造できる人を探すコスト、価格交渉するコスト、契約するコスト、検品するコスト・・etcと実際の価格以外に様々なコストが市場から何かを買うときに発生している。

そのため保有してしまえば上記のコストの大部分を節約できるので企業というものが発生するという主張である。

企業をいう存在を当然のものとして考えている人間からすればとても面白い指摘である。

企業がなぜあるものを外注して、別のものはそうしないのか、考えてみれば当たり前のようなことだが市場との関係性でとてもうまく説明できていると感じた。


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