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【自販機ベンダー大蔵屋商事】全従業員には説明会を開いているのに、ユニオンとの団体交渉は拒否?

 自販機ベンダーの大蔵屋商事では、ルートマンの150時間を超える時間外労働や96時間の固定残業代がついているなど、劣悪な労働条件があり、その改善を求めて2018年からユニオンで活動を続けてきました。
 その結果、残業時間が大幅に減ったり、残業代が支払われたり、休憩が取れるようになったり、大きな改善が実現されました。
しかし、現在も会社は法律違反を繰り返しています。

■6月12日、大蔵屋商事がユニオンとの団体交渉を拒否しました
 自販機ベンダーの大蔵屋商事株式会社で、今年6月から新しい賃金・人事制度の運用が開始されました。 新しい賃金は、96時間あった固定残業代を45時間に減らし、減った固定残業代分を基本給に上乗せする内容で、私たちが組合結成以来求めてきた内容です。
 しかし、それと同時に人事評価が始まり、ルートマンの賃金はそれによって増減することになりました。私たちは、今のままのペースで働いていると、多くの人の賃金が下がる結果になるのではないか、と疑念を抱いています。

 私たちは、新賃金・人事制度についての団体交渉を2023年6月12日に開催しようとしましたが、大蔵屋は、ユニオンによる録音と宣伝の禁止、参加組合員の制限を開催の条件とすることに固執し、団体交渉を拒否しました。

■大蔵屋商事がユニオンとの交渉を拒否する理由は「重要なことだから」?
 ご承知の通り、労働組合には労働条件に関する交渉を使用者と行う権利(団体交渉権)が強く保障されており、会社は労働組合からの団体交渉を正当な理由がない限り拒否できないことになっています。また、組合が交渉の内容や労働条件について広く宣伝する権利も強く認められており、そのことを通して組合は、企業内外の社会的な支持を集めることは基本的な権利です。

 団体交渉を拒否する理由を大蔵屋商事に尋ねると、「会社にとって重要な話だから」と答えが返ってきました。賃金は労働条件の根幹であり、重要な議題なのは当たり前のことです。そもそも団体交渉の議題はすべて重要です。
 「重要である」ということだけでは、録音や宣伝を禁止したり、組合からの参加者を制限する理由にはならないからしっかり説明をするようユニオンが求めても、大蔵屋商事は「重要だからです。それ以上の説明はない」という趣旨の回答を繰り返します。
 これは「使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと」(労働組合法第7条2項)にあたり、明らかな違法行為です。
 また、団体交渉に組合側から誰が参加するかは組合側の自由であり、企業が組合から参加者を制限することは違法という判例も出ています(※1)。

■大蔵屋商事は、労働組合法違反を繰り返さないでください。
 
大蔵屋商事は、去年の5月にも労働組合法違反について法令順守するよう、東京都から命令を受けています
 しかし、大蔵屋商事は、命令をいまだに履行せず、労働組合法違反を続けています。
 私たちはユニオンを団体交渉の相手も認め、団体交渉を行うよう、今後も強く求めていきます。
 
※1 判例時報2385号で紹介された事例(東京地裁平成30年1月29日判決)。
本件は,学校法人である使用者と教職員組合との団体交渉に係る事案ですが,従前,7名以下であった組合側の団体交渉への出席参加人数が9名であったことから,使用者が7名以内にするように求めたが組合側が拒否し,人数を制限する質問をしたのに対し,使用者は質問に対して回答することなく,組合側出席者が7名以下でなければ交渉に応じられないとして交渉を拒否して退席したという事案において,都労委,裁判所とも,不当労働行為であると判断したというものです。判決では,団体交渉の出席人数を何名とするかということについては第一次的には各当事者の自主的な判断に委ねられるべきものであるとし,使用者が参加人数を制限するように求めたりすること自体は許されるものの,組合側がこれに応じなかったからといってそれを理由に団体交渉の議題に入らないとの態度をとることは,人数制限についての客観的な必要性合理性を勘案して,相当であると認められる特段の事情がない限りは許されないと判示しています。そして,本件で,そのような必要性合理性が認められるのかという点について,まず,本件使用者側では,組合側参加者は7名までという「慣行」が成立していたと主張しましたが,それまでの組合側の参加者が7名以内であったとしても慣行として成立していたとまでは認められないとされています。また,組合側の参加人数が多くなると語気が強くなったり暴言が増えるといったことをあげましたが,そのような因果関係は認められないとして退けられています。なお,使用者側が人数制限を求めたことからその過程で適切とはいえない発言(「ふざけんなよ」とか「ほんとばかやろう」など)があったとしても,
人数が7名を超えたからこのような発言がされたとはいえないとされています。また,7名を超えると使用者側が取り囲まれるような状態となるという主張もされましたが,使用されていた部屋の状況からすると10名程度までならそのような状況にはならないといえるし,そもそも,その部屋を使わなければならないということでもないとされています。

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