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第5回クリエイティブネクサス団体交渉報告。社員へ過去2年間分の未払い残業代の支払いが決定しました。

クリエイティブネクサスで映像制作に携わっているディレクター、ADのみなさん、日々の労働おつかれさまです!

暴力を受けて退職した元ADが、現在会社と団体交渉をおこなっていることは、みなさんも見聞きしているかと思います。この記事では、会社と交渉している内容について紹介・解説をしてきます。

みなさんが受け取る残業代に関わる論点もあるので、ぜひ一読してみてください!

団体交渉報告の内容

①会社は、社員へ過去2年間分の未払い残業代の支払いを約束しました。

②みなし残業(固定残業代)が有効か無効かで、もらえる残業代がぜんぜん違う!

③中川社長、「以前から未払いを支払うつもりだった」ってホント!?

①社員へ過去2年間分の未払い残業代の支払いが決定しました。

団体交渉で、社員に対して、過去の未払いを支払うのか改めて聞きました。

すると会社は、

「社員に対して、過去2年間の未払い残業代を全額支払います。」

と明言しました。

②みなし残業(固定残業代)が有効か無効かで、もらえる残業代がぜんぜん違う!

しかし、実際に支払われる金額は、「みなし残業(固定残業代)」が有効なのか無効なのかによって、大きく変わってきます。

なので、この点について、わたしたちは交渉をしています。できるだけかみ砕いて解説していきたいと思います。

■みなし残業(固定残業代)とは?

実際の残業の有無に関わらず、あらかじめ給与の中に、一定時間分の残業代が含まれて支払われる制度のことです。ここで重要なのは、一定時間分の超過分に関しては別途支給しなくてはならないということ。

クリエイティブネクサスの場合、50時間分のみなし残業(固定残業代)を導入していました。

■みなし残業(固定残業代)が有効か無効かで、請求できる残業代がぜんぜん違う!

交渉の論点になっているのは、みなし残業(固定残業代)が有効なのか、無効なのかという点です。

なぜこの点を争っているのかというと、これが「有効」なのか「無効」なのかによって、請求できる残業代が大きく変わってしまうからなのです。

たとえば、1ヶ月に100時間の残業をしていた場合、どのような違いが生じてくるのでしょうか? 2016年度入社ADを例にとって考えてみましょう。

▼みなし残業無効の場合

無効の場合の残業代の基礎単価の計算方法は、下記のようになります。

(基本給+新職務手当+住宅手当+みなし残業)÷月の所定労働時間×残業割増

給与明細を元に、実際の数字を当てはめてみると、残業代請求の基礎単価は2088円になります。

(140,000+20,000+15,000+59,000)÷140×1.25=2088円

それでは、月に100時間の残業をした場合、どのようになるでしょうか?みなし残業が無効とみなされた場合、残業代はいっさい支払っていないとみなされるため、100時間分の残業代を請求することができます。

【請求額】100時間(未払い残業時間)×2088円(基礎単価)=20万8千800円

▼みなし残業有効の場合

有効の場合の残業代の基礎単価の計算方法は、下記のようになります。

(基本給+新職務手当+住宅手当)÷月の所定労働時間×残業割増

給与明細を元に、実際の数字を当てはめてみると、残業代請求の基礎単価は1562円になります。

(140,000+20,000+15,000)÷140×1.25=1562円

月に100時間の残業をし、かつみなし残業が有効と判断された場合は、どのようになるでしょうか?50時間分はすでに支払ったとみなされ、請求の基礎単価も切り下げられています。

【請求額】100時間-50時間(みなし残業)×1562円(基礎単価)=7万8千100円

な、なんとみなし残業無効の場合の請求額は20万8千800円なのに対して、有効の場合は7万8千100円となり、13万700円も減額されることになってしまうのです…!ぜんぜん違いますね。

わたしたちは、みなし残業の無効を主張しています。

理由は以下です。

(1)超過分の支払いをしていない。

(2)タイムカードを導入したのは、2017年4月からだとし、それ以前は、労働時間を適切に管理していなかったと会社が認めた。

(3)みなし残業と言うのは、50時間を超過した月とそれより短い月で「デコボコで相殺できる」と会社は認識していた。

ちなみに、会社側は下記の四点を根拠に、みなし残業は「有効」であると主張しています。(無理があると思いますが・・・)

【会社の主張】(1)給与明細には、基本給とは別に、みなし残業と記載されており、社員は、5万9000円の、みなし残業を基本給とは別であるとの認識の上、給与明細を受け取っていた。(2)就業規則には、5万9000円が50時間分であると記載されている。その為、社員へのみなし残業の周知義務は果たしていた。(3)みなし残業の運用に不備がある為、無効であるとする最高裁の見解はない。(4)労働条件通知書に「その他の労働条件は就業規則を適用する」とある。


③中川社長、「以前から未払いを支払うつもりだった」ってホント!?

社内説明会にて、今年の8月から残業代を払うようになり、給与明細が変更になったことを受けて、役員は会社は社員に対して次のように説明しました。

「今回ユニオンが来て残業代を支払うみたいになっているが、以前から(過去については支払わないが今後の分については)支払うための準備をしていた。」

これからも、できるだけ交渉の内容をみなさんにご報告できるようにがんばります!

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