【KDDIエボルバ】リモートワークとDX化を推進する社会と、そこから省かれ命を危険に晒すコールセンター業務
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【KDDIエボルバ】リモートワークとDX化を推進する社会と、そこから省かれ命を危険に晒すコールセンター業務

総合サポートユニオン

初めまして。私は、KDDIエボルバのコールセンターで働く契約社員です。
コロナ感染が騒がれている中、仕事をしながら、一つ、とても違和感を感じていました。それは、このご時世に、なぜ職場に出勤をしなければ働けないのか?という疑問です。

実際に、コロナ感染拡大をさせないようにしなければいけない中、毎日普通に電車に乗って通勤し、職場ではクラスターが発生している(※注1)にも関わらず、センターは閉鎖せずに通常運用で仕事はしていました。
仕事はパソコンを使いますし、ネットワークに繋がっており、電話もPCを介して使える仕組みです。

さて、違和感の原因ですが、デジタル改革担当大臣・情報通信技術(IT)政策担当大臣・内閣府特命担当大臣(マイナンバー制度) 平井 卓也氏は、COVID-19で陥った国難と顕在化したデジタル化の遅れを受けて、デジタル庁を設計し、日本社会全体のDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めようとしています。
また「アフターコロナ」ではなく「ウィズコロナ」だと仰っているとおり、COVID-19の問題はまだ終わっておらず、現在もオミクロンの感染拡大など、社会全体の対応力・復旧力を上げていくためにも、デジタル化が非常に重要だとしています。
そして、デジタル庁がこれから進めようとする、健全なデジタル社会は政府だけでは作ることは不可能で、民間の協力が必要だと訴えています。

そんな中、多くの企業がリモートワークをできる環境整備を構築してきている中で、電気通信事業者の最先端の業種であるはずのこのコールセンターでは、何故かリモートワークが普及せず、未だほとんどのコミュニケーターはクラスターが発生している職場に出勤を余儀なくされています。

え? いやいや、通信の会社ですよね?
日本のDX化を牽引するべき企業の子会社ですよね?
そんな疑問の声が心の中で生まれてきました。

同じ職場の従業員には高齢の家族と住んでおり、絶対にコロナを持ち帰るわけには行かない人や、学校に通いながら仕事に来ている為、学校側に逆に感染を持ち込めないという人、様々な背景もあり絶対に感染したくない人たちが、どうしても職場に物理的に行かないとお金を稼げない状態に陥っている状況です。

これだけ社会で、DX化やIT導入と騒がれており、実際に導入してリモートワークができている会社も多々ある中で、なぜこのような状態での勤務を強制させられるのか。

韓国では、コールセンター勤務の労働者が大規模なストライキをしています。
ポルトガルでも、コールセンターで感染拡大を訴えたストライキがありました。

そう、現状からこの職場に団体交渉を申し入れをするということは、なるべくしてなる当然の流れで、社会の流れでもありました。

今回、総合サポートユニオンに15名以上の労働者が参加して、2月8日に代表者複数名がKDDIエボルバ本社を直接訪問し、組合として団体交渉の申し入れをするに至ったのですが、会社側からのまさかの回答で耳を疑います。それは、

「担当者がリモートワーク中のため対応できない」

といった内容でした。

、、、は?

私達は、リモートワークを認められない為クラスターが発生している現場に毎日の危機感を感じながら仕事に行っているのに、団体交渉の申し入れをリモートワークしているから対応できないという、なんとも皮肉で稚拙な回答でした。

さあ、どうでしょう。皆様はいかが感じられますか?

身の危険を感じながら仕事に行って、いよいよクラスターが起きて、もうだめだ! なんとかしなければ!
自分たちが感染して、周りにも被害を出してしまうかもしれない!
そんな危機感を持って、会社に対策を求めにいった時に、当の担当者はリモートしているから対応できないという回答をもらったのです。

ここから、私の中でも会社に対する考えが変わり始めました。

私達は、時給で働いています。
生命時間を切り売りしています。

確かに、この仕事を選んだ時点で、時給制を選んでいる時点で、会社からしたら使い捨ての歯車かもしれません。
しかし、この仕事をする人がいなくなっては、今の社会は成り立ちません。

インターネットは今や社会インフラの一つです。
インターネットがなくてもいい時代は終わりました。

そして、そうしたネット環境を支える存在に、様々な問い合わせや相談の窓口として電話一本でつながるコールセンターがあり、そこで働く、いわゆるエッセンシャルワーカー※という我々のような労働者がいるのです。

※(英語で「essential worker」は「essential(必要不可欠な)」と「worker(労働者)」を組み合わせた言葉)

コールセンターというシゴト

今回インフラ的な扱いである業種以外でも「コールセンター」という仕事に様々な問題が見えてきます。

コールセンターという業務形態は、産業構造の大きな変化によってサービス業の急激な拡大や、情報通信技術の発展により生まれた、比較的新しい職種です。

商品の販売やサポート、個人も法人も、様々な局面でコールセンターは活用されています。それはもちろん国内だけではなく、世界全体として一つの職種として広がっているのです。

しかし、このオペレーターとしての仕事は、世界中で必要とされている反面、「近代の搾取工場」「情報処理工場」とも表現され、ケージのような仕事場に縛られているとも言われています。

そして今回の新型コロナウィルスの感染拡大が進む中、この職種は最悪な状況を生み出しました。社会に新型コロナウィルスの感染を広めてしまう一端を担ってしまったのです。

なぜか?
それはその労働環境に答えがあります。

コールセンターは、従業員を多く確保する為に、ある程度の条件があります。
アクセスが良く、家賃が安く、一箇所で多くの人員が就業できる物件という立地。そうなると、駅周辺、物件はビル、そうなると窓は開かない。

大人数を収容するために、小さなスペースにできるだけ多くの従業員を投入できるように、密集状態になります。間仕切りをつけたとしても、空調を回したとしても、同じ空間の空気を吸うことになります。大人数をひとつのフロアで管理するので、毎日何十人から何百人が、自宅から通勤経路をたどって、最終的には同じフロアで仕事をして、そして帰宅して行きます。

現場で使用するパソコンやデスクについても、自分専用のデスクではなく毎日移動する共用制。そして、消毒を義務付け、毎回拭いたとしても、毎日違う人間が触り、感染リスクは常につきまといます。

この環境下で、クラスターが発生したら、あなたはその職場に通勤したいと思いますか?

そして、いざ自分が感染した際には、管理職から、なぜ感染したのかと、根掘り葉掘りプライベートの行動も含めて感染経路の特定をしようとされるのです。

いや、この職場だろ?

そう思うのは自然ではないでしょうか。

コールセンターウィズコロナ

コールセンターがコロナウィルスの感染拡大に寄与してしまっている原因はなんとなく伝わりましたでしょうか。

では、そもそもの原因である、出勤するから感染する。
出勤しないと仕事ができず給与がでない。
という問題について考えます。

結果として、リモートワークが認められないことにより、以下のような負の螺旋が発生します。

出勤しないとお金にならない(時給制)。
 ↓
生活の為に働く必要があるため、無理をしてでも出勤する。
 ↓
体調が悪くても、解熱剤を飲んででも出勤する。
 ↓
結果コロナ感染してても職場にきてしまい感染する。

と、いった具合です。

KDDIエボルバでは、一応、対応として、コロナ不安による欠勤は認められました。(※認められたのは、欠勤についてペナルティを課さないということ。この会社では欠勤やシフト確定後の有休取得に対してペナルティを課して、翌月のシフトの都合をきかせられなくするという仕組みがある。)

しかしながら、コロナ不安での欠勤には給与補償はされず、もし有休を使えばシフトのペナルティが課せられるため、結局は体調不良でも出勤する者が後を絶たず、感染は拡大する一方。
更に、会社はブースの充足を満たすために景品やインセンティブなどを出して出勤を餌で釣るという方法をとっていました。

生活に困窮している、我々低所得者の足元を見て、感染するリスクをとっても出勤させようとしているように受け取れます。

その結果が何を生むのか?
それは感染拡大を助長してしまうということです。

経費を使う方向性を完全に間違えている。全くもって恐ろしい話です。

未曾有の感染症で、死亡する事もある、緊急事態宣言が発令されるような事象に対して、感染を阻止する方向性での費用ではなく、金銭面で出勤を無理にでも増やそうとする方向で経費を使う企業であったのです。

では、コールセンターは今後どうあるべきなのか。

現状としては、技術的な面でリモートワークは可能であることが立証されています。
しかし、リモートをさせないのは、おそらく個人情報の流出など、契約関連の部分で問題があるのでしょう。
それならそれで、契約内容の改訂も含めて見直せばいいだけのこと。優先すべき内容が違うのではないでしょうか。

そして、未だに組合からの要求に対して、PCR検査の実施以外は一切要求を飲まず突っぱねるだけの対応しか見せない為、現在も戦っています。

2月26・27日に延べ17名の組合員がストライキを決行。KDDIエボルバ本社前での抗議行動の様子。

コールセンターで働く労働者が、会社の垣根を越えて、国の垣根も超えて、協力して社会に訴えかけるような動きに発展してく必要性があるのではないでしょうか。
是非、そういった未来がやってくることを願います。

※注1
今回ストライキを行った新宿区にあるKDDIエボルバのコールセンターでは、今年1月19日~26日の1週間で同じフロアで12名の感染者が確認されていますが、保健所が業務ひっ迫により企業における感染経路の調査を行っていないため、行政からのクラスター認定はされていません。しかしながら、厚生労働省がクラスターの目安とする「5名程度の感染」を大幅に超える感染者が出ていることから、本記事では「クラスター」と表記しています。

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