ジャパンビバレッジ社で第二組合(社内労組)が結成されたことについて

 ジャパンビバレッジ社で第二組合(社内労組)が結成されました。名称はジャパンビバレッジグループ労働組合。上部団体は連合加盟のフード連合とサントリー労組協議会です。組合結成は今年8月のようですが、従業員に周知されはじめたのは、10月以降のことでした。

 本稿とあわせて、Yahoo!ニュース『ジャパンビバレッジで「社内労組」が誕生 「社内労組」は役に立つのか?』も、ぜひ参照ください。https://news.yahoo.co.jp/byline/konnoharuki/20181119-00104680/

 結成に先立って私たちには何の連絡もありませんでしたが、ブラック企業ユニオンは、ジャパンビバレッジグループ労働組合と連携して、同社の労働環境の改善に取り組みたいと考えて、話し合いの場を設けてもらいたいとお願いしました。

 しかし、残念ながら現在のところ実現していません。最初の要請からはもう一ヶ月半が経ちました。それでも、社内労組側は、話し合いの日程の候補を提示することさえできないとしています。

 また、こうしたやり取りはすべて上部団体のフード連合を介して行われており、社内労組側(ジャパンビバレッジグループ労組とサントリー労組協議会の両者)は、組合の連絡先を教えることも拒否しているそうです。

 実は、社内労組は、私たちに対してだけでなく、今のところ従業員に対しても連絡先を明らかにしていません。社内労組は、各支店で組合説明会を開催して組合への勧誘活動を実施しましたが、組合の所在地も連絡先も代表者も役員も組合規約も開示していません。これには、私たちも驚いてしまいました。とりわけ、団体規約の開示を求められてもそれを拒否しながら、入会を求めるという勧誘方法は異例のことでしょう。

 この間、ブラック企業ユニオンは、同社の労働環境の改善について一定の成果を上げてきました。10回以上の団体交渉、そして順法闘争やストライキという争議権の行使、ユニオンの組合員による労基署への複数回の通報などを通じて、全従業員への過去2年間分の未払い残業代の支払い(ただし本来貰えるはずの金額より相当少ない点で問題含み)、事業場外みなし労働時間制度の撤廃と残業時間に応じた残業代の支払い、などを実現させました。また、有給休暇や休憩の未取得の問題を提起することで(支店にもよりますが)、一定の改善を実現してきています。

 他方で、過去の休憩未取得分の賃金の清算が未だになされず、JR東京駅支店での暴力・パワハラ・有休取得妨害についても一切の補償がなされていません。また、支店によっては、長時間労働も解消されておらず、従業員の過重労働も依然として続いています。

 私たちは、同社の以上のような問題について、ジャパンビバレッジグループ労組にも一緒に協力して取り組んでもらいたいと考えています。

 二つの労働組合間で連携をとれず、労働者が分断されてしまっては、経営側に隙を与えてしまいます。一方の労働組合が経営者に対し、ストライキやSNSでの発信などを背景にして交渉で強く改善を迫っても、もう一方の労働組合がストライキやSNSでの発信に消極的な姿勢でいれば、ストライキやSNSでの発信の効果は半減してしまうでしょう。

 ジャパンビバレッジ社は四度にわたって労基署から是正勧告を受けても、十分な改善を行わないなど多くの問題を抱えています。労働者同士、労働組合同士がしっかりと団結して経営者に強く迫らない限り、同社のブラック体質を変えることはできません。

 ジャパンビバレッジグループ労働組合には、同社の労働環境の改善に向けた協力関係をつくろうという私たちの呼び掛けに応じてもらいたい、と願っています。

総合サポートユニオンの活動を応援してくれる方は、少額でもサポートをしていただけると大変励みになります。いただいたサポートは全額、ブラック企業を是正するための活動をはじめ、「普通に暮らせる社会」を実現するための取り組みに活用させていただきます。