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葦原の中つ国の良き水【コンパクト レトロ】

 アロマウォーターとは、アロマオイルを抽出する際に副産物的に生成される、香りのついた水のことをいう。近年では加湿器に入れて楽しむ人も増えているが、もともとはリードと呼ばれるスティックを挿し、気化した香りを部屋に広げる、というものである。
 リードは、日本語で葦のこと。日本神話において、地上世界は「葦原の中つ国」と呼ばれ、葦を通じて全ての良きものが良き香りと共に降り注いだと言われることから、アロマウォーターに使われるようになった。
 今回、展示したアロマウォーターは1920年に発売された物。日本神話をモチーフにしたシリーズで、このラベルには「Japanese Garden」と書かれているが、これは「葦原の中つ国」の英訳である。このシリーズは、それぞれの神話ゆかりの神社において祈祷を受けており、そのため、百年以上を経た現在でも、その香りを絶やすことがない。

キュレーター 羽根川 樹里

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